今年のジャパンCは近年にない低レベルの一戦だったような気がします。王者オルフェーヴル、そしてダービー馬キズナが不出馬。今年春の天皇賞馬フェノーメノ、秋の天皇賞馬ジャスタウェイも早々に辞退。加えて3歳牡馬陣が1頭もいない不思議な現象。それならば、と言うことで、アタマ数を揃えよ、とばかり8歳で不振続きのスマートギア。8月まで障害の未勝利を走っていたファイヤーが日本代表として引っ張り出される始末。当初はジャパンCよりも12月の香港Cへ行きたい、と報道されていたエイシンフラッシュが急遽ジャパンCに路線変更。
しかも「招待された外国馬が、正直いってどうでもいいような馬ばかり。商店の店先のひと山いくらといった類い」と言う口の悪いファンもいたぐらいでした。おそらく家族、関係者も含めて、すべて招待ということで、日本観光気分という思いは、招待される側に少なからずあったような気がします。
そんな状況ですから今年のジャパンCが盛り上がりに欠けたことは否めません。例年ジャパンC当日の席の好ポジション取りに、前日から徹夜で競馬場の門前に列を作る熱心なファンが、土曜の18時前後で昨年の半分以下。今年のジャパンCの特質をよく表しています。
そんな雰囲気の中で今年のジャパンCが定刻通りスタートを切りました。ところが今年は典型的な逃げ馬が不在。ほとんどの馬が末脚温存で直線勝負型。それでも英国のジョシュアツリーが行くのでは、と思われたのですが皮肉にも大外の17番枠。天皇賞で2番手追走から2着に粘りこんだジェンティルドンナが思い切って逃げるか・・と考えていたら、なんとポンと出たエイシンフラッシュが勢いで先頭に立ちます。前に付けたいルルーシュも好スタート。最内からヴィルシーナ。そして好枠のトーセンジョーダンとジェンティルドンナが前に出ます。出るというよりも外から何も行かないので、お互いけん制しながら1コーナーをまわります。
先頭は手綱をガッチリ抑えたMデムーロ騎手のエイシンフラッシュ。2番手にトーセンジョーダン。直後のインにヴィルシーナ。その外に並ぶようにジェンティルドンナとルルーシュ。その真後ろにはナカヤマナイト、アンコイルドで、外からジョシュアツリーが浮上。そこから少し離れてアドマイヤラクティ、ホッコーブレーヴ。中団にヒットザターゲットと唯一の3歳牝馬デニムアンドルビー。そして最後方には古馬牡馬陣の大将格ゴールドシップが追走。
前半の1000m通過が62秒4。未勝利クラス並みに遅いペース。同じスローで展開した昨年の60秒2と比較しても2秒2も遅いのです。そして、1マイル1600m通過が1分40秒4。昨年のビートブラックが1分36秒5ですから、およそ4秒も遅い信じられない超スロー。
3コーナーを先頭でまわるエイシンフラッシュ。そしてトーセンジョーダンが2番手。その直後のインにヴィルシーナ、ジェンティルドンナ。その真後ろにルルーシュ。アドマイヤラクティが中団の内。その後方にデニムアンドルビー、その外に仕掛けて浮上してきたゴールドシップ。
4コーナーでは各馬一団。内からエイシンフラッシュ、その外には馬体を併せに来たトーセンジョーダン。そしてまくり気味に仕掛けたヒットザターゲットが並ぶ形。その直後にヴィルシーナ、外から万を持すジェンティルドンナとルルーシュが接近。ナカヤマナイト、アンコイルドも追撃態勢。後方から直線外に出したゴールドシップ。その内にデニムアンドルビー。
さあ、直線は切れ味の勝負。エイシンフラッシュの内側に進路を取ったジェンティルドンナの脚が目立ちます。その外からしぶとく伸びるトーセンジョーダン。そして外に出したルルーシュ、大外からゴールドシップを置き去りにする形で、グングン伸びたデニムアンドルビーが強襲。ジェンティルドンナが最後の力を振り絞るかのようにデニムアンドルビーをハナ差振り切って優勝。ジャパンC2連覇となりました。
追い込んだデニムアンドルビーが惜しくも2着。トーセンジョーダンが3着に粘りこんで存在感をアピールしました。
勝ちタイムが2分26秒1で、ジェンティル自身のラストが33秒9。昨年は2分23秒1で、ジェンティルのラストが32秒8。明らかに昨年より勝ちタイム、ラスト3ハロンの威力が大きく劣性でした。とくに、ゴール前1ハロン手前が今年は11秒9。昨年が11秒5だったことからも、2連覇したジェンティルドンナは、体調によるものか昨年よりも明らかにパワーダウン。それでも勝ったということは相手に恵まれたということなのでしょう。
ライバルのエイシンフラッシュが10着。ゴールドシップに至っては15着の惨敗。これでいいかジャパンC。入場者の激減、ジャパンC売り上げの大きな減収。考えさせられた今年のジャパンCでした。