毎日杯は皐月賞まで中2週。昨年の優勝馬ヒストリカルはダービーに直行。一昨年のレッドデイヴィスは京都新聞杯へ。その後、骨折で長期休養。5年前のディープスカイ以来、クラシックに直結するような馬は登場していませんでしたが、今年はただならぬ予感を感じさせます。
それというのも、デビュー前からクラシック級と大いに注目されていたディープインパクトとファレノプシスのGI馬同士の配合、キズナその馬の参戦です。新馬→黄菊賞を連勝。一気にクラシック街道を歩むことになりました。今年初戦だった弥生賞は、馬体を大きく12Kも減らし5着だったものの優勝したカミノタサハラと0秒1差。
毎日杯は相手に恵まれたということからか、ダントツの1.5倍という単勝人気。どんなレースをして、どれくらいの強さを見せつけるか、といったところに注目が集まっていたような印象でした。
スタートは最後方グループに位置。タイセイウインディが主導権を取り、バッドボーイとラブリーデイが並んで2番手を追走。そこから離れてガイヤースヴェルト、テイエムイナズマが続く展開。縦に長くなる展開で、中団の後ろに2番人気のコメットシーカー。そして離れてキズナが後方。
前半の3ハロンが34秒8、半マイルが46秒6で1000m通過が58秒6。阪神の芝1800m、外回りでこのペースは予想外に速い流れ。過去10年でも一番速い展開でした。
4角でタイセイウインディに並びかけたバッドボーイに、外からラブリーデイ。テイエムイナズマの直後からガイヤースヴェルトが、抜群の手応えで前を追います。コメットシーカーは中団でモタついている間に、外からスパート態勢のキズマが進出。
直線バッドボーイが先頭に立ち、2番手に一気に浮上してきたのがガイヤースヴェルトでした。これと同じ位置にいたテイエムイナズマの伸び脚が今ひとつ。バッドボーイをアッサリと捉えたガイヤースヴェルトのシュタルケ騎手が、大きなアクションでラストスパート。一気に突き放しにかかります。1馬身、2馬身、3馬身・・。そのときでした。直線外から後方でジッと待っていたキズナが猛然と襲い掛かってきました。
みるみる内に接近してきたかと思うと、頑張るガイヤースヴェルトを捉えて先頭。ここから余裕綽々で3馬身差の圧勝劇。
1分46秒2はあのディープスカイの1分46秒0に続くハイレベルなタイム。キズマにとってはクラシックを迎える上でも大きな収穫を得た一戦だったようです。武豊騎手も「直線が長い外回りなので、持ち味が出せたし、ラストの伸びも満足。とにかく一戦毎に良くなっているね」と絶賛。目標のダービーに向け好手応えだったようです。
ところで、このレースで2着だったガイヤースヴェルト。この日が3戦目。しかも、初めての芝。明らかに不利な条件でしたが、この馬の潜在能力の高さを感じ取っていた私は打倒キズナを狙ってこれが本命。
今年1月の京都のデビュー戦で独走。そのときの時計が古馬1000万でも通用するような時計。騎乗したビュイック騎手が潜在能力の高さをアピール。芝のほうがいいともコメント。2戦目が東京のダート1600m。出遅れてデビュー戦とは違い速い流れ。それでも大外から猛然と追い込んでハナ差2着。実に惜しい一戦でした。やはり、このときもビュイック騎手は芝向きとコメント。
それが今回の初芝だった毎日杯で実証されました。それもハイペースを急追して、直線早めに抜け出し、一瞬は突き放す見せ場十分の内容。このとき1600m通過、あとゴールまで1ハロンというところで1分33秒7は凄いタイムです。翌日の古馬オープン、マイル戦の六甲Sを制したシャイニーホークが1分34秒0を軽く上回っていたのですから、文句なしにGI級の逸材であることは確か。
キャリア3戦で中山、東京、阪神を経験。なにかゾクゾクする馬です。