今年の春のクラシックはデムーロ兄弟でいくつ勝つのだろう!日本人ジョッキーに出番はあるのだろうか、という思いにさせられています。
皐月賞は1番人気に推されたロゴタイプが優勝。これが芸術的と思える騎乗。スタートはそれほど速くはなかったものの気負って行きたがるコディーノの直後に位置取り。スタンド前の歓声が上がると外から他の馬が進出。その影響で内のコディーノが内に逃げるような仕種。ここで直後のインにいたロゴタイプと接触。それでも、M・デムーロ騎手との折り合いはピタリ。勝負どころの3コーナー過ぎに前を裁いて進路を外にとると、4コーナーでは一気に好位外に進出。直線坂下でアッサリと先頭に立ち、そのままゴールに向って真一文字。快勝でした。100点満点といっていいくらいの騎乗。やはり、クラシックを制するには騎乗技術も大きいのです。
コパノリチャードで逃げ切れないものか、マイル戦まではその傑出したスピードと、底を見せていない奥深さ。あと2ハロン、というよりもあと1ハロンをどう凌ぐか、私はここさえ乗り切ればチャンスは十分にあるはずと結論しました。
ところが、まさかのことが起きてしまったのです。どう騎乗しても勝てそうにもない芝で未勝利のクリノヒマラヤオーが、スタートから執拗に後ろでコパノリチャードを煽ってくるのです。何故だ、村田騎手は正気なのか。自滅するだけだぞ!
前半3ハロンが34秒1、過去10年で1番速かった4年前の34秒8を大きく上回るペース。しかも、半マイルが45秒7、マイル戦のダービー卿CTよりも速いペースで飛ばすはめになったのです。
さすがに3コーナー過ぎでは、玉砕覚悟で煽ってきた2番手のクリノヒマラヤオーもギブアップ。
4コーナーでは先頭がコパノリチャードで、2番手に進出したクラウンレガーロ。ラブリーディ、その外に2番人気のエピファネイア。コディーノが直後の内で、その外に出したロゴタイプ。と人気上位馬が急接近。1600m通過も1分34秒0と息の入れ場がありません。中団のインからカミノタサハラが外に持ち出します。その後ろにはミヤジタイガとタマモベストプレイ。
直線でも頑張るコパノリチャードでしたが、ここが勝負どころと判断したM.デムーロのロゴタイプが一気に仕掛けて先頭に並びます。それを見てエピファネイアが待っていたとばかり接近。遅れまいとコディーノが追撃。
ロゴタイプが先頭、2番手にエピファネイア。もう完全にこの2頭の争いでしたが、外のロゴタイプが朝日杯FSでコディーノを振り切ったときのような勝負強さを発揮。追いすがるエピファネイアを半馬身振り切って優勝。首を左手でポンポンとロゴタイプの労をねぎらうM・デムーロ。派手なパフォーマンスはなし。
2着がエピファネイアで、コディーノが踏ん張って3着。上位1番人気から2番人気、3番人気で順当な着順。追い込んだカミノタサハラが4着で、これが4番人気というしごく人気通りの決着。ファンの方の見識の高さには頭が下がります。
勝ちタイムが1分58秒0のレコード。過去10年で1番速かった9年前のダイワメジャーが1分58秒6。出色のレコードです。逆に良馬場ではラスト3ハロンが35秒9と一番遅いものとなりました。
ハイペースを演出したコパノリチャードは、初めて経験した距離、コース、そして息の入らない流れ。4角で外から一気にワッと来られる競馬も未体験。本来であればボロボロになっても不思議はありませんでしたが、4着カミノタサハラと1秒差の1分59秒5は立派です。
レース後、検量室前の縁に腰を掛けていた内田博騎手。私と目が会うなり「スピードがありすぎるね。もっと後ろを離して逃げられるかなと思ったけど・・。でもペースを考えたら頑張っているよね」とコメント。
馬主のDr・コパさんも「結果は残念だったけど、なかなかいいスピードを見せてくれたね」と。
喜び100パーセントの田中剛調教師の横で、M・デムーロ騎手は「ロゴタイプは素晴らしく賢い馬ですよ。馬場が重くても関係ありませんね。ダービーでは弟のクリスチャンが騎乗しますが、きっと勝ってくれるものと願っています」と期待をつなげていました。
ロゴタイプはM・デムーロ騎手で3戦3勝のパーフェクト。朝日杯FS、皐月賞とGI2勝。弟のC・デムーロ騎手はスプリングSで優勝。ロゴタイプは外人好きなのか?
桜花賞でワン・ツーを決めたデムーロ兄弟。今年のクラシック春の陣は、デムーロ旋風が席巻しそうです。