まるで溶け出したツンドラに乗っかった芝がボコボコ飛ぶような札幌記念。6馬身差の意義は・・?!
天気予報通りに函館は未明から雨。洋芝の函館の馬場は、ある種、頑丈さが売り物でしたが、東京や新潟では目にすることができない異常な光景が、そこには広がっていました。
それは9レースの500万・定山渓特別で3番人気のネコタイショウが、芝2000mで大差勝ち。そこから2馬身差で3着馬。さらに続く10レースの1000万の支笏湖特別では、芝2600mで1、2着の馬がクビ差だったものの3着が3馬身差、あとは2馬身差、5馬身差、9馬身差・・。まるでハンデ戦とは名ばかりの障害戦のような結末。
それで9、10レースを合わせて6頭ものタイムオーバーが出て、その6頭全馬は1ヶ月の出走停止。こんな異常な状況下の結末で、次走のハンデ戦のハンデ差を決める参考にされたのでは、ファンとしても頭を抱えてしまいます。
そんな過酷な状況のなかで、夏の北海道、最大の呼び物「札幌記念」が行われました。1番人気はロゴタイプ。さすが今年の皐月賞圧勝の貫禄。3歳馬に恵まれた54K。再びコンビを組む村田騎手もやや緊張気味の表情。対するは鳴尾記念、函館記念を連勝中のトウケイヘイローが2番人気。以下、ルルーシュ、トーセンジョーダンと休養明けの2頭が期待を集めていました。
この日の異常な馬場コンディションが各馬にどんな影響を与えるのか、そこが大きなポイントだったように思いました。道悪巧者で昨秋のエリザベス女王杯で、私の予想通り見事1番人気のヴィルシーナを破って優勝したレインボーダリアに、胸を膨らませたのでしたが、道悪巧者の彼女が戸惑うような、衝撃の馬場コンディションだったのです。
目黒記念で先手が取れず惨敗したネコパンチが、出ムチを入れてでも先手を主張して来ると思われたのですが、これが行ききれずに好位で追走するだけで精一杯と言った余裕のなさ。そこをすかさず、馬の行きたいままにトウケイヘイローが飛び出していきます。武豊騎手は、この日、9、10レースを連勝。少し無理しても前で勝負したほうがいいと、感じていたはずでした。
函館記念2着のアンコイルドが函館記念と同じように前に出てトウケイヘイローをマーク。ネコパンチの外からアイムユアーズが進出。その直後にロゴタイプ。真後ろの外にアスカクリチャン。内にタッチミーノットにルルーシュ、その外にホエールキャプチャ。トーセンジョーダンやレインボーダリアは後方待機。
3コーナーを目前にしてトウケイヘイローがグーンとペースアップ。置いていかれたアイムユアーズが2番手。後ろにアンコイルド、その外に仕掛けながらロゴタイプ。後ろには手応え十分のアスカクリチャンが虎視眈々。ネコパンチは脱落。外からレインボーダリアが進出してきました。ルルーシュやトーセンジョーダン、タッチミーノットも後方で懸命の追走。
そして勝負どころの4コーナーを、ただ1頭、大きく後続を離した形でトウケイヘイロー。武豊騎手も仕掛けながら後続との差をターフビジョンで確認。後続もこの馬場状況では前に追いつくどころか、自分の位置を守るのが精一杯といった我慢比べのような様相。その中から、アスカクリチャンがグイと2番手に上がり前を追います。好位置で辛抱していたアンコイルドがアイムユアーズを捉えて3番手に進出。そこから離され気味にロゴタイプが苦しそう。後方から外まわって追撃態勢だったレインボーダリアもこの馬場では勝手が違うのか推進力が働きません。
結局、トウケイヘイローが直線半ばで勝利を決めた格好で6馬身差のワンサイド勝ち。アスカクリチャンが2着で、そこから4馬身差でアンコイルド。ロゴタイプは5着と掲示板を確保したものの4着アイムユアーズと2馬身差。3歳世代のトップクラスの先頭に立つロゴタイプにとっては苦い敗退となりました。
トウケイヘイローは鳴尾記念、函館記念、そして札幌記念と3連勝。それも芝2000mで3戦3勝。昨年は1400mと1600mしか走っていなかったことから、きゅう舎サイドでも、ようやくベストの距離に気がついたようです。そして、同時に逃げるという形がどうやら確立された印象。ということから、このあとは10月の天皇賞に向って突き進みそうです。
それにしても、定量戦の札幌記念で6馬身・4馬身差とは・・・。次なるレースでこの札幌記念の結果をどう評価すべきなのか迷うところです。
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