エリモハリアーCが設けられた7月20日の函館。この日のメインは記念すべき50回目を迎えた「函館記念」。昨年、トウケイヘイローが逃げ切り勝ちのときとは異なって、馬場は函館独特の時計を要するコンディション。加えてハンデ戦とあって、難解度を一段と引き上げていました。
この函館記念。過去10年でエリモハリアーが奇跡の3連覇(41・42・43回)という偉業を成し遂げたレースでもあるのですが、唯一、1番人気で制したのが、このエリモハリアー(42回)だけ。
ここ5年では4年前のジャミールが、マイネルスターリーの2着が最高で、他はことごとく馬券の対象から消えているのです。
そんな経過のなかで今年1番人気に推されたのがグランデッツア。都大路Sで日本レコードの独走。強烈な復活劇を見せました。
ところが、安田記念はひどい不良馬場の1番枠。4コーナーで接触しそうになる不利。良馬場のGⅢであれば、というファンの思いは十分に理解できます。ところが、馬場状況を含めて、レコード勝ちした京都の都大路Sのときとは、舞台がまったく異質なものになっていたのでした。
主導権を取ると思われていたゼロスが、おどおどしていたすきに、サッとトウカイパラダイスが先頭に立ち、外からグランデッツアとバウンスシャッセが出てきます。内にゼロス、アドマイヤタイシが好位。内にはナカヤマナイトもいます。中団の内に昨年の函館記念2着のアンコイルド。直後にステラウインド。その外にダークシャドウ。後方のインにラブイズブーシェで、真後ろにアドマイヤフライト。
ここ2、3年見られなかった逃げ戦法で相手のかく乱を狙うトウカイパラダイス。前半3ハロンが35秒8。1000m通過が59秒6。時計を要する現在の函館では緩みない流れで展開。
ガッチリと2番手に付けてトウカイパラダイスを追いかけるグランデッツア。3歳馬バウンスシャッセが直後で引っ掛かるような勢い。その内にアドマイヤタイシ。そして中団にインにアンコイルド。その左にステラウインドがいて、その直後にはナカヤマナイト、外にはダークシャドウ。さらにその後ろにはラブイズブーシェで、ラチ沿いを走るアドマヤフライト。最後方はアスカクリチャン。
1600m通過が1分35秒1。緩みない流れの中で、後方から3角をまわって外から勝負に出たラブイズブーシェが一気に3番手に進出。これを見て2番手のグランデッツアが逃げるトウカイパラダイスに並びかけて行きます。
内から進出してきたシゲルササグリ。5番手の外にダークシャドウが顔を覗かせて進出態勢。中団のアドマイヤタイシの勢いが減速。内からアンコイルド、その外にステラウインドとアドマイヤフライトが前を追います。バウンスシャッセとナカヤマナイトはギブアップ。
直線入り口で内のトウカイパラダイスに並びかけたグランデッツア。さあ、これからというときに、直後に外から迫っていたラブイズブーシェが並びかけて来ました。そして先頭に立ちます。これを首の高い走法でダークシャドウが接近。それを直後のステラウインドとアドマイヤフライトがグングンと肉薄。
一気に先頭に立ったラブイズブーシェが、そのまま後続の追撃を振り切ってゴールイン。待望の初重賞勝ち。7回目の挑戦でもぎ取った栄冠でした。このラブイズブーシェは当日大きく票数を伸ばし2番人気に浮上。函館3勝目、このコースの巧者でもありました。
また、今年は大攻勢を見せている馬主のDr.コパさんの運気にあやかろうと、オッズの票数の伸びを助長した印象があります。
昨年の有馬記念では12番人気ながら4着に健闘。母の父がメジロマックイーンで長距離型の奥手タイプ。
コパさんは私のメールに「ラブイズブーシェは強くなりました。ありがとうございます」と送って来ましたが、本当に強くなりました。とくに3角から4角にかけて他が止まったようにも見えたくらいです。秋が楽しみです。
函館記念のラストが48秒8-36秒8。とくにゴール前の2ハロンは12秒3-12秒7。先行馬が総崩れの形となりました。
人気の3歳牝馬バウンスシャッセはオークス時よりもプラス10Kの馬体重。あるパドック解説者は成長した体と、ほめたたえていましたが、私の目にはどう見ても急仕上げの印象。離れたシンガリでした。
グランデッツアは安田記念の疲労がとれていないようにも感じられて、また、この緩みのない流れにガーっと行ってバッタリ。パワーを要求される馬場もアウトだったようです。
アンコイルドは直線で他の馬に前に入られて、前がカベになり持ったままゴール。不運でした。