この秋、競馬ファンに大きな夢のプレゼントの期待を乗せて50回「札幌記念」が行われました。
宝塚記念を圧倒した王者ゴールドシップ。3歳牝馬の代表格、桜花賞馬ハープスター。昨年の札幌記念・優勝馬トウケイヘイロー。
降雨で緩い馬場、かつ洋芝に良績があるゴールドシップが、直前の宝塚記念独走の勢いからも単勝1.8倍という圧倒的な人気。
対するハープスターは初めての洋芝でしたが、52Kという恵まれた斤量。これに多くの支持者が賛同して3.7倍。今年も単騎逃げが望める3番人気のトウケイヘイローが、離れた7.5倍。
まさにゴールドシップとハープスターの一騎打ちムード一色でした。この2頭はレイティング世界1位のジャスタウェイと共に渡仏。最高峰の凱旋門賞を目指します。
ゴールドシップは皐月賞以来の2000m。ハープスターは初めて経験する洋芝。他の馬にもツケ入るすきはあると考えていた私は、皐月賞で圧勝したロゴタイプに期待して1票投じたのでした。
札幌は週末の雨で、土曜、日曜は晴れたものの洋芝は水分を含み、良馬場の発表でしたが時計を要する馬場コンディション。明らかにゴールドシップ向きの馬場で、人気に拍車がかかりました。
そして、スタートです。当然のように躊躇なくトウケイヘイローが飛び出して行きます。最内からロゴタイプ。並びかけるようにムーンリットレイク。これにピッタリとトウカイパラダイス。好位置の内にタマモベストプレイ。エアソミュールとルルーシュが続きます。
ラブイズブーシェとホエールキャプチャが並んで中団。後方にはハープスター。そして取り残されるようにゴールドシップ。場内から驚きの歓声が上がります。
トウケイヘイローがペースダウンすることなく思い切った逃げを打ったことから、2番手以下が離れ気味。
前半の3ハロンが34秒9-半マイル46秒5。さらに1000m通過が58秒4。この時計を要する馬場では明らかにオーバーペース。
そして、3角手前で後方2番手のハープスターの川田騎手が、後ろのゴールドシップを振り返って見て、あまりにもライバルが後ろなので、これはマズいと判断したのか、外からジワジワとゴーサイン。それを待っていたようにゴールドシップがもの凄い脚で急接近。3コーナー過ぎのことでした。
4角手前では懸命に逃げるトウケイヘイローに外から並びかけるロゴタイプ。その外にトウカイパラダイス。さらにその外からハープスター、その外へゴールドシップが接近して、今にも飲みこみそうな勢いで迫って来ました。
4角を先頭でまわったトウケイヘイローが懸命の応戦をしますが、外からのハープスター、ゴールドシップの脚が格段に上回り、直線入り口ではハープスターが先頭に躍り出て来ました。外から迫るゴールドシップ。
52Kのハープスターの勢いは衰えることなくゴールを目指します。そうはさせまいとゴールドシップ。完全に2頭のマッチレース。抜け出したハープスターがそのままゴールドシップを押し切り優勝。凱旋門賞に弾みをつけました。
52Kとはいえ、これまではゴール寸前でもの凄い脚で追い込んで来るのがハープスター。今回は早めに直線入り口で先頭という新たな面を披露。明らかにまた一段と成長してきています。
凱旋門賞は3歳牝馬が斤量で恵まれることから、ハープスターにとっては今回の札幌記念で得たことが大きく結果に結びつきそうです。洋芝を克服したことも嬉しい材料。ゴールドシップも距離が延びる凱旋門賞では、本領発揮という期待値があがります。ジャスタウェイも含めて、今年の日本軍団は強力布陣でフランスに乗り込むことになりそうです。