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あまりにもスケールが違ったFと、あまりにも走らなさ過ぎたHの天と地!!


008 例年、波乱含みのハンデ戦「アルゼンチン共和国杯」。今年も1番人気が大凡走となる結末を迎えました。 この日、1番人気に推されたのが日経賞2着、春の天皇賞3着のホッコーブレーヴ。宝塚記念でも5番人気に推された馬です。

ところが、過去10年で宝塚記念の6月から、ぶっつけでアルゼンチン共和国杯に臨んできた馬で優勝した馬はゼロ。2着が7年前のトウカイトリック1頭だけ。優勝馬、上位馬のほとんどが9月、10月に出走していた馬が圧倒的に多数なのです。1番人気の宝塚記念以来のホッコーブレーヴは、本当に大丈夫なのか、私にとっては戦前から不安が先行していたのです。

さらにこのレースは強力な典型的な逃げ馬が不在。となると、私はある1頭の馬に引きつけられたのでした。 それがネオブラックダイヤ。前走の新潟、準オープンのレインボーSで圧勝。それまでとは一転し、主導権を取るとマイペースの一人旅。外回りの2000mでしたが、なんと直線で再び加速。ラスト33秒6という最速の末脚で独走。加えて、当時は5月の京都、烏丸S以来、4か月ぶりの実戦で、馬体がプラス24K。この状態で圧倒的なパフォーマンス。今回は54Kという魅力のハンデ。そしてリーディング1位の戸崎圭太騎手。

ポンと主導権を取ると、まず競り込んで来る馬はいないはず。デスペラードに騎乗する横山典騎手も、前走のレインボーSで騎乗して、ネオブラックダイヤの強さを手応えで感じとっていることから、無理に競り込んで来るようなことはしないはず。となると、ペースは必然的にスローになると見ていたのです。 これはネオブラックダイヤで押し切れる!逃げ切れるとの推察から自信の◎という気持ちでいたのでした。 ところが、競馬と言うものは実にやっかいなもので、ほぼ自信をもってレースを読んでいるにもかかわらず、アッサリと裏切られることがあるのです。人はこれを不運ともいいます。

スタートでした。内で1頭赤い帽子の馬が躓いて、前にガックリと崩れるような仕草。騎乗していた騎手が頭から落ちそうになるアクシデント。ネオブラックダイヤでした。体勢を整えてレースに向かおうとしたときには、周りの馬たちは一足先に失礼。最後方に置かれたのです。以前、控えた形でも、東京2400mでホッコーブレーヴに勝ったことがあるといっても、現在は逃げるという形がベスト。

「もう腹をくくりましたよ。こうなっては折り合いに気をつけて直線勝負に徹するしかありませんからね」と、戸崎騎手。

私はスタートのアクシデントでしばし呆然。砂糖菓子が崩れて落ちて行く感覚にとらわれたのです。

ネオブラックダイヤのアクシデントを隣の枠で見た横山典・デスペラードは、それじゃかわりにということからか、主導権を取って我が道を行く、スイスイと逃げ脚を伸ばして行きます。2番手にクリールカイザー、外からラブリーデイ。サイレントメロディの外に併せた追い込みのスマートギア。直後にスーパームーンが陣取り、中団より後ろには内にフェイムゲーム。外側をホッコーブレーヴ。アドマイヤケルソが後方4番手。そして最後方を出遅れたネオブラックダイヤ。

先頭のデスペラードは2番手のクリールカイザーとの差をグングンと広げて行きます。ラブリーデイが3番手。そこからまた離れてスマートギアとサイレントメロディ。そしてまた離れてスーパームーン。中団のインにフェイムゲーム。外にホッコーブレーヴ。そこらまた離れてアドマイヤケルソ、最後方はネオブラックダイヤが追走。

3コーナーで大きく後続を離しながら逃げるデスペラード。2番手をクリールカイザー、ラブリーデイのポジションは変わらず。縦に長い展開で、中団のインにスーパームーン。少し離れて内からフェイムゲーム。その外にマイネルメダリストがいて、またその外をホッコーブレーヴ。後方は変わらずアドマイヤケルソ。最後方にネオブラックダイヤ。

001 そして、4コーナーをまわり快調に大きくリードを取って逃げていたデスペラードも、さすがに脚色が乱れてきました。そこを直後でじっとしていたクリールカイザーが一気に仕掛けて前に出ます。これを見たラブリーデイが追い出しました。そしてスーパームーンが外へ出ます。

004003002 4角を内でまわったフェイムゲームが馬込みの中で進路を探しています。直線大外にホッコーブレーヴ。後方にアドマイヤケルソ。最後方にいたネオブラックダイヤが馬群に取りつき内を狙います。 直線先頭に立ったクリールカイザーがゴールを目指して真一文字。そこへ内から外へ一気に進路を変えたフェイムゲームが、鋭い脚で迫って来ました。もうゴール前50mであっという間に抜き去ると脚力の違いは歴然。差を広げにかかります。

2番手争いに絞られて、クリールカイザーが粘るところにスーパームーンが接近。その外からアドマイヤケルソが強襲。結果はクリールカイザーが2着を死守。3着にスーパームーン。

005006007 一方、ネオブラックダイヤも馬込みを縫うように追い上げたのですが7着。スタートのアクシデントが惜しまれます。

また、1番人気のホッコーブレーヴは14着とぼろ負け。あまりにも負け過ぎ。ファンをガッカリさせました。