「馬に乗っていることが、こんなに楽しいときはなかったな・・」と、言っていた横山典騎手。その彼の騎乗したアリゼオが意表をつく逃げの手に出て、見事な逃げ切り勝ちを決めたのです。
「これまで騎乗していたルメール騎手が、他の馬を気にすると言っていたので、横並びのレースにならないように、集中して走ることが出来るよう心がけて乗りました」と、横山典騎手。さすがです!
昨秋の毎日王冠や天皇賞で女王ウオッカを撃破したときの、いわゆる一流の“勝負勘”のようなものが、現在の横山典騎手には備わっているようです。
スタートは平凡でしたが二の足が速くて5番枠から難なく主導権。逃げると思われていたカワキタコマンド、バーディバーディが来ても、まったく動じずスイスイとマイペース。というよりも、前半の5ハロン通過が60秒2。内回りの芝1,800mにしては遅いほうの流れ。この流れが幸いしたのが2着で皐月賞の優先出走権を得たゲシュタルト。好位置キープから3角で3番手。終始経済コースを通り追撃体制。フルに力を出し切りました。
主導権を楽に取れたアリゼオはまさに一人旅の形で、直線も後続を寄せ付けず快勝。共同通信杯ではゴール前で3頭の間にサンドイッチされる形で叩き合い。不覚の3着だったことが、この日のスプリングSで生かされたような気がします。
1分48秒2、ラスト35秒6は重賞クラスとして決して優秀な時計ではありませんが、全体的に芝は時計を要している馬場コンディション。メイショウサムソン、フライングアップル、スマイルジャック、アンライバルドと、ここ5年の勝ち馬のうちでは最高タイム。
さあ、次は皐月賞、芝2,000mは2戦2勝。この距離適性も大きな武器。そして中山芝は2戦2勝。期待馬がまたスケールアップして本番に挑みます。
それにしても、1・4倍のローズキングダムが3着。それもゴール前でゲシュタルトと馬体が合い激しい叩き合い。それで頭差遅れたのは能力か、体調が完全ではなかったのか、それとも騎乗ミスか!?
そもそも、皐月賞が最大目標ならば、スプリングSよりも皐月賞と同じ弥生賞に駒を進 めるべき。そのほうが本番までローテーション的にゆとりができたはず。ヴィクトワールピサとの直接対決を避けたかったのかも知れませんが、クラシックはサバイバル。本番前であっても強力な相手を打ち破って自信を得たり、あるいは例え敗れたにしても、本番まで逆転を狙い、秘策が考えられようというものです。
馬場コンディションを考慮して、ローズキングダムは皐月賞を回避。ダービー1本に仕上げていく、という報道も耳にしますが、ヴィクトワールピサとの皐月賞対決を待ち望んでいるファンの気持ちに、是非応えて欲しいものです。
私はスプリングSで2戦2勝のサンライズプリンスに期待していました。前日の17時現在の単勝オッズが12倍くらい。ところが、当日は7・1倍。猛烈な勢いで票数を伸ばしました。2勝とも圧倒的な横綱相撲。いずれも2,000m。非常にフットワークが大きく、また迫力があることから器の大きさに期待していたのですが、初めての右回り、初めての急坂で1,800m。いろいろ課題はあったとはいえ、出走権をゲットするにはここが最後の舞台。何 とかと思ったのですが無念の4着。スタートが悪く、中団の後ろで展開。しかも、前残りの流れで内回りでは無理でした。北村友騎手にはもう少しローズキングダムを負かすくらいの気持ちで、臨んで欲しかったと思います。恐らくこの馬は滅多にバテないタイプだと考えています。本来は皐月賞よりも東京の良馬場で長距離向き。是非とも日本ダービーにその名があることを期待しています。