競馬中継をライヴで聴いたり、観ていたりして、何といっても実際に走っているレースの臨場感を伝えてくれるのが、それぞれのアナウンサー。
彼らの実況放送ひとつで、レースが一味も二味も違ってくるであろうことは当然です。競馬ファンにドキドキ感や、ゴール前のデッドヒートの激しさを伝え、ゴールでは正確に到達順を伝える大きな役割を担っているのです。
各局のアナウンサーには、それぞれにおいて個性というものがありますが、一応、正確第一、坦々と語るアナウンサー、直線に入り熱く語るアナウンサー、いわゆるドラマ化して話すアナウンサー。更に、失神してしまうのではないかとも思われる絶叫型のアナウンサーなどがいます。
「マサイチ、でっかいよー」と、実況ブースから戻る彼に向って、開口一番、他社のアナウンサー仲間が、つい口をついて出るくらいのアナウンサーがいます。
文化放送の高橋将市アナウンサーです。この方の実況は大声の絶叫型。その声の大きさは、隣りのTBSのブースを越えて、ニッポン放送、ラジオ日本のブースまで聞こえて、放送に入ってしまったとか。日本で一番の実況大声アナウンサーだと確信しています。
私は彼の歯切れのいい実況が大好きで、どんなにボリューム全開で実況していても、声が裏返ったりせず、きちんとテンポを踏んでいて、最後のゴールに入った瞬間に、少し臭いもののドラマチックなセリフの雄たけびを上げる!この彼、高橋アナウンサー独特の世界。いやあ、実に聴き応えのあるアナウンサーです。久しく彼の声から離れていると、妙に懐かしく、聴きたくなってしまう名物アナウンサーなのです。
また、番組で彼を補佐するアシスタントの多和田弓子(フリーのアナウンサー)さんも、 彼に触発されたわけでもないのですが「おめでとうございまーす!」という声が、ここへきてグーンとボリュームアップ。
そして、この多和田さん馬券がはずれると「ああ、今夜のオカズが一品、いや二品減るわ」と、テーブルに向ってでぶつぶつ。そして“最終レースの女、多和田見参”とばかり12レースに向う大変明るい、誰からも慕われる女性です。
文化放送と同じメーンのレースを実況しているTBSラジオにも一人、大の競馬フリーク的名物アナウンサーがいます。以前も何度かこのブログに登場してもらっていますが、歩く競馬四季報ことTBSの宮沢隆アナウンサー。私、個人的にも付き合いが古く、ひと昔、ふた昔の競馬の話題になると、私と時間を忘れて熱弁をふるいます。
この宮沢アナウンサーの実況も一風変わってい ます。人気馬の状況、人気の馬がどこでどんな風に走っている、といった具合にリスナーに伝え、そして、何といってもゴール前のデッドヒートから、ゴールに入った瞬間が聴きどころ。左手をあの力道山の空手チョップよりも早く、まな板の上でキャベツの千切りしている早切り名人のように左手を激しく上下に切り込んだか、と思うと、ゴールに入った瞬間は、今度は右手を高く上げて、先ほどの空手チョップ状態で、フィニッシュはグイと右手が天を衝き、その興奮ぶりを伝えようと懸命です。
いずれも、競馬実況のプロフェショナル。私にはそばで彼らの名実況に耳を立てながら、好きな競馬を観戦できる幸せ。至極のひと時なのです。