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やはり強かった女王陛下の国から来たスノーフェアリーは次元を超えた女傑だった!!


 牝馬の頂上決戦、注目の「エリザベス女王杯」は、牝馬3冠を手にしたばかりの3歳馬アパパネが1番人気に推されて、京都大賞典を制したメイショウベルーガ接近した2番人気。大きく離された形で秋華賞2着のアニメイトバイオ。さながら2頭のマッチレースの様相でした。
 ところが。ある1本のビデオテープを観ていて震撼させられました。それは6月4日に行われた「英国オークス」でした。その馬は15頭の最後方近くを進み、4コーナーを回って直線に入ると、なんと馬群の真っただ中に突っ込んでいきます。当然、前が壁になるのは覚悟の上なのでしょう。それを掻き分けると、また前が壁。それを乗り越えて馬と馬のわずかな間を突き進みます。最後は最内から凄い脚で一気に先頭に踊り出ると、後続をあっという間に突き放して圧勝。なんという無謀な競馬で、なんという強烈な強さ。日本のどんな牝馬が出ても、こんな極端な競馬は出来ないだろう、あのウオッカだって無理。過去、凱旋門賞のモンジューの勝ちっぷりにも驚かせられましたが、この常識外のケタ外れの強さに、ただただ脱帽。過去に遡っても海外のレースでは一番インパクトのある一戦を、見せつけられた思いがしました。その馬こそが、スノーフェアリーだったのです。
 こんな凄いレースを見せられたら、ひょっとしてアパパネを上回る1番人気?とも思ったくらいでしたが、実際は8・5倍の4番人気。やはり、過去にヨーロッパの馬に大きく裏切られてきた日本の競馬ファンにとっては、額面通り受け取れない心情もあったことは容易に予測がつきます。
 私は英国オークス通りこんなに強い馬であれば、アパパネであれ、メイショウベルーガであれチギられても仕方がないぞ、と考えていましたが、英国とは反対側の国に来て、体調は大丈夫か、調整はうまくいったか、といった状態ひとつだけが気がかりでした。
 ところが、利口なでよほどタフな精神力の持ち主なのか、木曜の午後に計測した体重が466Kで、来日直後よりも馬体重が増加していたのです。環境に馴染むことが早かったのでしょう。当日の馬体重も468Kと、きゅう舎スタッフも計算通り、順調であることをアピール。この順調さが本番で凄いことを成し遂げることにつながったのです。
 レースは予測通りにテイエムプリキュアが主導権を取って、後続との差をみるみる離して、昨年を彷彿させるレース。これを2番手で追いかけるセラフィックロンプと、3番手のブライティアパルス。その3頭から離れてリトルアマポーラと掛かり気味のアパパネ。中団の内にスノーフェアリーがいて、サンテミリオン、アニメイトバイオの3歳勢。その直後に実に気持ち良さそうに走る真っ白な馬体のメイショウベルーガ。4コーナーを回ると、各有力馬はボコボコしたインサイドを嫌って、馬場の外に進路を取ります。
 そのときでした。インサイドに進路を取ったスノーフェアリーが、もの凄い脚で先頭を並びかけると、テレビカメラもホローできないくらいのスピード、破壊力で一気に先頭に踊り出て、あとは外から追い込んだメイショウベルーガの末脚も薄れるくらいの勢いで突き抜けていたのです。なんたる強さ。4馬身差の独走でした。ラスト3ハロンはメンバー最速の34秒0。ボコボコしたインサイドを走ってこの瞬発力。まさに次元が違う走りということは、こんな馬のことを言うのでしょうか。
このスノーフェアリーはジャパンCにも登録。中1週でファンの前に再び顔を見せるのか、体調との相談とのことですが、3歳牝馬で英国の至宝に無理して欲しくない気もします。ボーナスも含めて1億8000万を手にしたスノーフェアリー。安価な馬が生んだシンデレラストーリーでもあります。
 私が応援していたもう1頭のサンテミリオンは、秋華賞に続き出遅れ。それに口内を怪我した影響か、4コーナーからの伸びが見られませんでした。3着アパパネと0秒5差の9着。早く快走を見たいものです。