「ああ、これで終わりなんだな・・と思うと、涙がどんどん溢れてきちゃって。周りを見たら、みんなも泣いているんですよ。それを見たらまた涙、涙でしたね・・」と、語る元高崎競馬の女性ジョッキー、赤見千尋さん。
TBSラジオ「アベコーのモリもりトーク」この日のゲストは、グリーンチャンネルなどの競馬番組で活躍中の赤見千尋さん。以前からサークル仲間で気軽に話ができる気さくな女性。
「赤見千尋といえば、元高崎競馬のジョッキーで、今も伝説として残っているあの高崎競馬廃止、最後の日にレースに乗っていたんですよね」と私。
「はいそうなんです。今でも思い出します」と赤見さん。
「もうどのくらい経ちますか?」と江藤愛アナ。
「あれは2004年の12月31日でしたから、ちょうど6年ですかね」と赤見さん。
「もう6年ですか。あの日は最後の日だというのに、すごい雪が降っていましたね・・」と私。
「ええ、かなり降っていました。それでも雪の中で真っ白になりながらも、たくさんのお客さんが応援に来ていただきました」と赤見さん。
続けて「午後に入るとますます雪が多くなって、危険だからということで、途中で打ち切りになってしまったんですよ。でも、私の馬が勝っちゃいました」と、にっこりする赤見さん。
「おお、そうでしたね。本当にラストランを決めちゃったんだよね」と私。
「わあ、そうですか、それは凄いですねー」と江藤アナ。
「優勝したからやったー!という気持ちなんですが、周りを見たらみんな泣いているんですよ。助手さんやきゅう務員さん、そして高崎の仲間のジョッキーも。みんな泣いているんですよ。そうしたら涙が止まらなくなっちゃって・・。更に雪が降りしきる中で、スタンドから大きな声で応援してくれたファンのみんなも泣いているんです。もう忘れられませんね」と赤見さん。
「あの頃は、NHKの朝の連続ドラマで、高崎競馬場で働く騎手、きゅう務員、調教師などをモチーフにしたドラマがありましたね」と私。
「ええ、ありました。ファイトですよね」と赤見さん。
「ヒロインは本仮屋ユイカさん。恋の相手となる瀬川亮さんとは中のいい知り合いなんです。競馬も好きだし・・」と私。
「そうなんですか、カッコいいですよねー」赤見さん。
「で、一つの競馬場が幕を降ろすということは、もの凄いことなんですよね。調教師、調教助手、きゅう務員、そして騎手。それぞれ家族がいるじゃないですか。みんな競馬一筋でやってきて、お正月前にポンと寒空に投げ出されるわけだから・・。手塩にかけた競走馬も処分されちゃいますし・・。足利競馬も宇都宮競馬もそう。みんな最後は言葉に出来ないほど悲しい別れでしたね」と私。
「本当にそうでしたね。高崎競馬の仲間たちもみんな頑張ったんですけど・・。辛かったですね」と赤見さん。
「アベコーさん、実は赤見さんは競馬のキャスターなどで頑張っているのですが、なんと漫画の世界にも足を踏み入れたということなんです」と江藤アナ。
「ええ、漫画の連載をさせてもらっています」
「漫画『優駿の門アスミ』ですよね」と江藤アナ。
「ほとんど私の実体験からストーリーは出来ているんですよ。だから高崎のジョッキーだった人たちの名前も実名で登場していますよ」と赤見さん。
「本人から苦情はきませんか。これは違うとか」と江藤アナ。
「多分、大丈夫だと思います。とにかく前からやりたかったことだし、たまたま漫画家の早川恵子さん、監修をしていただいた、やまさき拓味さんといった素晴らしい人に出会ったことが、この優駿の門・アスミの単行本を発行できることになったんです。お二人にはいっぱい感謝しています」と赤見さん。
「前からやりたいことをやりたかったというと、今年の春からなんと大学生。早稲田大学に入学することが決まったんですよね」と江藤アナ。
「はい、フフフ、アラサー女子大生として頑張ります!」
「なんでも学ぶということに年齢はないからね。でも、すごいなー、千尋ちゃん。感心しちゃった」と私。
「あのー、今、南関東の競馬で活躍中の浦和競馬所属、水野貴史騎手から、千尋さん宛にメールが届きました。読みますね。同じ高崎競馬の同士として身体に気をつけて頑張ってください。応援しています。たまには一緒に一杯やりましょう、というメールでした」と私。
「ありがとうございます。でも、水野先輩、以前、食事に行きましょうよ、と誘ったら時間がないとかで、断られちゃったんですよ。先輩、今度は絶対ですよ!」と赤見さん。
番組終了後に赤見千尋さんから私の携帯に「本当にありがとうございました。アベコーさんのお陰で、すごく貴重な経験ができました。両親も喜んでいます。ありがとうございました」というメール。気遣いのある優しい女性なのです。