単勝支持率が1・9倍。断然の人気を集めたアメリカJCCのトーセンジョーダン。アルゼンチン共和国杯まで3連勝。長い休養から本格化の勢いを見せつけて、頂点の有馬記念に参戦。逃げ粘ってしぶとく5着に善戦。トップクラスでも通用する能力をアピール。
有馬記念8着のネヴァブション以外、ほとんどがGIとは無縁のようなメンバー構成。準オープンをやっと勝ったばかりの馬や、準オープンに在籍している馬。7歳、8歳、9歳馬といった高齢馬が揃って、実績、勢いのあるトーセンジョーダンにとっては、負けられない、負けてはいけないアメリカJCCだったのです。
当然ながらレースは2着争い、相手探しといった楽観ムード一色。どのくらい突き放すのか、ひょっとしたら馬なり状態で勝つかも知れない、そういった観測も流れる中で、レースはスタート。
主導権はミヤビランベリが取り、マルカボルトがこれに続く形。更にサンライズベガと、中山金杯を制したコスモファントムが好位のイン。ダイワジャンヌ、トーセンジョーダンも差なく射程権内を追走。前半の5ハロンが63秒4でレースは坦々としたスロー。
ペースが上がったのがラスト4ハロンを残したところ辺りから。勝負どころでサンライズベガとマルカボルトが減速気味。このとき注目のトーセンジョーダンの手綱が激しく動くのですが、どうもスーと行けず3、4番手で、逃げるミヤビランベリ追いかけて差を詰めるのに四苦八苦の状態。おお、これは大丈夫なのか?ファンも息を呑んでいる状態。
2番人気のコスモファントムの伸び脚も今ひとつ切れがありません。そうこうしている間に、やっとのことで逃げるミヤビランベリに並びかけようとするトーセンジョーダン。ゴール寸前でした。脚色に勝ったトーセンがミヤビランベリを僅かに捉えてゴールイン。大外から内に切れ込みながら3連覇を目指したネヴァブションが3着。コスモファントムがこれに半馬身差で続く4着。
戦前の下馬評よりも以外に苦戦だったトーセンジョーダン。8歳馬ミヤビランベリの好走を誉めたらいいのか迷うところですが、時計は過去10年で9番目の遅さ。平凡な時計に意外と手こずった優勝でした。
その辺のところを内田博騎手に、直接質問をぶつけてみました。
「もっと楽な競馬ができると思ったのですが、意外と苦労しましたね」と私。
「いやあ、着差こそなかったけれど、あれでも余裕があったし、見た目以上の強さでしたよ」と、内田博騎手。
「でも、4コーナーの手前では激しく手綱が動いていましたよね」
「ああ、あれは絶対この位置は譲らないということを主張したかったし、それにあの位置で激しく手綱が動いたことは、他の馬に乗るジョッキーにプレッシャーをかける一種の僕なりのパフォーマンスなんです」と内田博騎手。
さすがにトップジョッキー。なんとも心憎いばかりの演出だったのです。他の乗り手に与える心理作戦は、まずはお見事といっていいのかも知れません。
今年は好スタートで決めた内田博騎手。関東関西のトップを走ります。なにやら今年は内田博イヤーになるような気がしてきました。
「絶対ケガをしないで下さいね」という私の願いに、
「了解です。ありがとうございます」と、にっこり笑って片手を上げ、引き上げて行きました。
あれは他のジョッキーに対して主張する僕のパフォーマンスなんです!!と内田博騎手(^o^)/
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