3月5日、土曜日の阪神競馬場11レース。桜花賞トライアルの「チューリップ賞」が行われました。この日、1番人気で1・1倍という断然の人気に推されたのがレーヴディソール。GI阪神JFを制して無敵の3連勝。圧倒的な破壊力。死角があるとすれば本番の桜花賞前で余裕の仕上げで臨んできた場合という1点だけでした。
ところが、そんな事はすべて杞憂に終わったのです。どんな乗り方をしても勝てる、という自信満々のレース。後方でじっくりと脚を貯めて、直線は外に出したら、まさに天を飛ぶ翼の生えたペガサスに変身。前を行く馬たちとは次元の異なる末脚。それは眩しい余りにも眩しい閃光のようでした。直線一気に先頭に立つと福永騎手はレーヴディソールに掴まったまま。あらら調教かしらん、とも思える足どりで1馬身2馬身・・4馬身差で独走劇。
1分34秒5のタイムが過去10年でウオッカに次ぐ高速タイム。それもラスト33秒6で馬なりフィニッシュ。これは化け物?来る桜花賞はもちろん、オークス、秋華賞もノンストップの可能性も出てきました。
「ウオッカ、ブエナビスタを越える牝馬かも知れない。ダービーに出てこないかな」という報道関係者。
その日本ダービーを目指して、牡馬陣は、まずクラシックの1冠目「皐月賞」のトライアル戦「弥生賞」に有力馬が集結。ここで1番人気に推されたのがサダムパテック。昨秋の東スポ杯2歳Sを圧倒的な強さで優勝。続く朝日杯FSでは1番人気。スタートで後手を踏んだことが災いして無念の4着。その汚名返上とばかりに出てきたのが今回の弥生賞でした。馬体が朝日杯FSに比べてプラス10K。成長分があったとしても、やや急仕上げの印象は拭えません。
スタートで他馬に寄られて接触する不利があり、出負けした格好になりながらも、中団で折り合うと、早めに好位に進出。主導権を取った2番人気のターゲットマシンを意識したのでしょう。ところが、4角を回ると急激にターゲットマシンは減速。ターゲットの田中勝騎手はお手上げとばかり追うの早々と諦めたようでした。
好位4、5番手にいたサダムパテックは岩田騎手のムチに応えて、内でしぶとい粘り腰を見せたプレイとデボネアをねじ伏せて1着。勝負強いところも見せつけたのでした。
2着にプレイ、3着がデボネア。私のイチオシだったショウナンマイティが2着と同タイムの4着。鋭く大外から肉迫したのですが・・。
中山2000mの内回り、過去にも先行タイプが優勢なのに、離された最後方をトボトボ追走。前半が61秒7のスローペース。浜中騎手は彼なりに考えて騎乗したのでしょうが、あまりにも消極的。ラストはメンバー最速の34秒0という末脚だったとはいえ、勝負に拘るガムシャラさに欠けたような思いがしています。
結局ゴール前では、先行、好位グループで馬場のインサイドから伸びた馬の決着だったことからも、ショウナンマイティのこの位置取りに大外回りは「そりゃないよ!」と一言いいたくなりました。結局、首差で皐月賞の優先出走権も逃してしまい残念です。
それにしても、優勝したサダムパテックから6着のギュスターヴクライまで、何んと僅か0秒1差。さて本番の皐月賞となると、急仕上げで余裕の造りだったサダムパテックが、本番はバシッと仕上げて来るはずです。
そして、時計の2分1秒0は、過去10年で2分0秒5のコスモバルク、アドマイヤオーラに続いて3番目に早いタイム。一方で、2戦2勝だった人気のターゲットマシンは、この敗戦で皐月賞出走が、かなり危ぶまれます。残念な敗戦でした。
まだまだ混沌としている3歳牡馬クラシック。今週も新たな新星が飛び出てくるかも知れません。