東日本大震災から間もなく5ヶ月という月日が流れます。被災地の東北では復興へ向けて杭打ちの音が響き、それぞれが動き出しました。
まだまだ解決しなければならない問題が計り知れないくらい山積みですが、いずれにしても10兆円を超すとも言われる莫大な東日本大震災の復興財源。この工面をどうするのか、行政、国民一人一人が、この重荷を背負っていかなければなりません。
行政の代表でもある与謝野経済財政担当相は、毎日新聞のインタビューに答えて衝撃的発言。
「復興財源を基幹税の増税だけで賄うのは難しい。競馬、競輪、宝くじ、パチンコなどに税金を課す「射幸税」の導入や、たばこ税、携帯電話の電波料を引き上げて、財源に回すなど幅広く検討したい」とコメント。
「射幸税」つまりギャンブル税を導入して、復興の財源に充てようという計画なのですが、与謝野経済財政担当相は、競馬や競輪の現在の実情をご存知で発言されているのかどうか疑問です。
しかも、担当相は「2010年半ばまでに、消費税を現在の5パーセントから10パーセントに引き上げる」とも発言。まさに競馬にとっては、死活問題そのものなのです。
以前から言われている消費税の増税はまず避けられないと思いますが、仮に10パーセントに引き上げるとすると、例えば競馬の場合、競走馬に掛かる種付け料、育成代、人件費等も、それなりに跳ね上がるわけで、それはすべて競走馬の値段に加わってきます。
さらに、その競走馬を買う立場の馬主にとっては最悪の環境。競走馬の値段に10パーセント消費税が掛かることになり、現在の競走馬の値段がとてつもなく上昇することは確実。となると、金額的に手を出せないといった馬主が増えることは間違いなく、いわゆる売れ残りという競走馬が増大する結果となります。
売れ残っては困る生産者にとっては、採算を度外視で投売り状態になり、そのことは即、生産者の死活問題。生産地は疲弊し、連鎖倒産という最悪のケースも出て来ることも考えられます。それは日本の競走馬生産界、競馬文化にとって滅亡的危機。
それに加えて、JRAの場合、現在の各レースの賞金の5パーセントの消費税分も、JRAが支出。年々売り上げが右肩下がりの厳しい現実を踏まえて、10パーセントもの消費税をJARが上乗せ支出できるものなのでしょうか。
一方で、仮に馬主が負担ということになると、現在よりも高い競走馬代金を払い、その上賞金の10パーセントの消費税で減額。そんなデメリットの多い馬主を続けられる人は、ほんの一握りのような気がします。
また、今なお厳しい経営が続く地方競馬に大きく波及することは間違いありません。悲しいかに存続問題が急激に現実味を増してきます。
そんな状況を踏まえて与謝野経済財政担当相は、今回の射幸税、ギャンブル税検討をコメントしたのでしょうか。いわゆるギャンブル税はファン心理を逆撫でするものに他なりません。現在でも25パーセント差し引かれているわけですから、そこにまた射幸税が加わると、どうしても二重課税を搾取されているようで、多くの競馬ファンは腰が引けてしまいます。明らかに競馬文化の後退、衰退につながる要因となります。
確かに、大震災による被災地の復興は想像もつかない費用がかかることは間違いないと思います。私たち日本人はその復興に向けて、一人一人が素直に向き合って、努力していかなければならないことも確かです。そのことを踏まえて、多くの競馬ファンに愛されている日本の競馬文化を守っていく必要があると信じています。
射幸税(ギャンブル税)導入は本当か?!
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