それは完璧!でした。そして圧巻!でした。単勝支持率1・7倍。圧倒的な人気に推された2冠馬オルフェーヴル。本番の菊花賞を見据えたトライアル神戸新聞杯でしたが、パドックから受けた印象は、威圧感のような凄みさえ感じられる馬体造り。発表された計測は460K。ダービー時より16Kプラス。あまり馬格のないというより研ぎ澄まされたトップクラスの馬だけが持つオーラをもった馬でしたが、ひと夏を越してトモの辺りを中心に、全体的に筋肉のボリュームが増し、明らかに成長のあとが、そこからはっきりと訴えかけてくるのです。
「う~ん、参った!これは圧勝されるかも知れないな・・」と、直感的に私の目にはそう映ったのです。
まさにそれは本物でした。逃げ馬が不在のメンバー構成の中で、小牧太騎手のスマートロビンが前半5ハロンを63秒5で、半分の1200m通過が1分17秒2という信じられない超スローペース。そのことを見越したのか、池添騎手のオルフェーヴルが好位置の5番手を追走。いつでもスパートして抜け出せる位置取りで展開。
「よし、この流れで折り合えれば3000mの菊花賞も心配ない」という思いが、池添騎手の頭の中にあったはずです。
それに応えてオルフェーヴルもゆったりした流れのレースを楽しむかのような走りで気持ち良さそうに追走。
「これはマズイ!」と考えたライバルのウインバリアシオン・安藤勝騎手。オルフェーヴルを徹底的にマーク。その走りを見て早めに3角から動き出し、4角で勝ち馬の外に急接近。それを見ても動じない池添騎手。ライバルの追い出しを待ってから仕掛けると、それこそ異次元の破壊力でグングン加速して、先頭に立つやいなや、あっという間に突き抜けていたのです。しかも、ゴール前では抑えるほどの手応え。驚愕の強さでした。
4角でオルフェーヴルを射程権に入れたはずのウインバリアシオンも、これにはどうしようもなく、まるで無抵抗のような状態。そこには2馬身半差という大きな水が開いてしまったのでした。
「4角でがっぷり四つに組んだと思ったら、一方的に投げられた」というのが、ウインバリアシオンの正直な心情でしょうか。
スローペースゆえ一昨年の優勝馬イコピコより4秒1も遅く、今年同様にスローだった昨年のローズキングダムよりも2秒4も遅いタイム。とはいえ、余裕を残して神業的ラスト32秒8。いよいよ3冠馬へのカウントダウンが始まりました。
一方で勝ち馬をマークして2着だったウインバリアシオンも、さすがダービー2着がダテではないところを実証。馬体がプラス18K。やはり本番を意識した余裕残り造りだったように思えました。ゆえに関係者も納得の2着でしょう。
神戸新聞杯まで無敵の3連勝だったフレールジャックは、初めてのクラシック級が相手で、初体験の2400mでレース中は引っかかるような仕種。それでもウインバリアシオンと同じような末脚で3着は、さすがに一級品の素材です。馬体がプラス6Kで442K。これも歓迎材料だったように思います。
武豊騎手のショウナンマイティは後方で展開し、直線勝負に賭けたのでしたが、この高速ラスト決着では、5着もやむなしといったところでしょうか。
好位置で展開したステラロッサは馬体が絞れていい感じでしたが、4角でペースが急激に上がったときに、サッと対応できなかったことが最後まで応えた印象です。今後の成長力に期待しましょう。
神業的オルフェーヴルのラスト“32秒8”でディープ以来の3冠馬の可能性が・・
Category: 競馬 /