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考えさせられた国際招待に価値のある馬と、箸にも棒にもの招待馬・・


 今年の第31回目のジャパンカップは、その年の凱旋門賞で1、2、3着馬が揃って登録。結局、スノーフェアリーが回避したものの1、2着馬が出走。ともに3歳牝馬で世界のホースマン注目の一戦となりました。とりわけ、凱旋門賞で5馬身ちぎり捨て、レコードで優勝したデインドリーム。この稀代の女傑が熱い関心を集めました。
No1  当日は我が日本が誇る女王ブエナビスタ。そしてデインドリームの2頭の牝馬が1番人気を激しく奪い合う熾烈な争い。結局、10円の違いでデインドリームが1番人気に支持されてジャパンカップがスタート。
 戦前の予測では逃げ一手の米国ミッションアプルーヴドが主導権を取って、同じように先行タイプの仏シャレータが2番手。好位置にはヴィクトワールピサ、トゥザグローリー、トーセンジョーダン、ローズキングダム。そこにはデインドリームもいるだろう、という見方をしていました。
 その予想通りにミッションアプルーヴドが主導権を取り、2番手にはトーセンジョーダン。レース後、トーセンジョーダンのウイリアムズ騎手は「予定では4、5番手のつもりでしたが、アメリカの馬が逃げたので、これは遅くなると思って2番手をキープしました」。この彼ならではの判断が、実にタイムリーな結果につながるのです。
 一方、先行するはずだったシャレータは中団の馬群の中。ルメール騎手は「スタートしてから彼女が行きたがっていたので、息を入れさせてリラックスさせるような乗り方をしました。でも、直線で追い出したら反応がありませんでした」と、コメント。
 このシャレータが控えたことにより、流れが極端なスローペースに落ち込んでしまったのです。前半の3ハロンが37秒1、1000m通過は61秒8。半分の1200m通過で1分14秒1。同じ日の6レース最下級条件の500万クラスが35秒6で、1200m通過が1分11秒8。半分で2秒3も500万よりも遅いのです。
No2_2 No3
 この超スローペースに、これはまずい、と考えたウインバリアシオンの安藤勝騎手は、最後方2番手から向う流しで外をスルスルと進出。「この馬場でずっと外を回りたくなかった。本当は内に入れたかったんだけどね。それが出来なかったので、思い切って行ったんだ」と安藤勝騎手。
 3角で2番手のトーセンジョーダンに一気に並びかけたウインバリアシオン。トレイルブレイザーにトゥザグローリーが続き、ブエナビスタがその後の内目でスパートの機を窺うような態勢。人気を分けた注目のデインドリームは後方グループ。中団にローズキングダムと、その後ろにエイシンフラッシュ。3番人気のペルーサも同じような位置取り。ヴィクトワールピサは長期休養明けということからか、最後方で折り合いに専念。
No4_2 No5
 あまりにもゆったりとした流れから、勢いペースアップしたのが4角手前のラスト4ハロン。逃げたミッションアプルーヴドを追って、後続各馬もジワジワ進出態勢。直線では早々に脱落したのがミッションアプルーヴド。その外から先頭に立ったウインバリアシオン。トーセンジョーダンもその外から並びかけて、グリーンとピンクの帽子が並んでゴールを目指します。
 ブエナビスタもグイグイ肉迫。いつもより早目にジャガーメイルがインをついて追い上げます。デインドリームは直線大外に進路。ウインバリアシオンも良く粘っていたものの途中からスパートしたことが最後の最後で伸び脚を欠き、トーセンジョーダンが一気に抜け出し先頭。そのところに外から馬体を併せてきたのが女王ブエナビスタ。2頭の激しい叩き合いは末脚に勝るブエナビスタに軍配。クビ差遅れてトーセンジョーダン。そしてゴール前でグイと伸びたジャガーメイル。
No6 No7
 ウインバリアシオンが5着でデインドリームが6着。凱旋門賞圧勝馬がゴール前で一瞬見せた末脚が彼女のプライドでしょうか。シャレータが7着でエイシンフラッシュとローズキングダムが7、8着。ヴィクトワールピサは13着と惨敗。またゴール前で手綱が動いていなかったペルーサはシンガリ負け。天皇賞の反動でしょうか。
No8 No9
 唯一、ラスト33秒台の末脚を駆使したブエナビスタ。1着降着となった昨年の無念を見事に晴らしました。当時の優勝馬ローズキングダムとの浮き沈みの激しさを見た思いがします。
 と同時に、鳴り物入りで来日し、1番人気だったデインドリーム。スタートの位置取りの不利はあったものの、結局、掲示板にもその番号が点滅することはありませんでした。シュタルケ騎手は「凱旋門賞のときのような本来の彼女の状態ではなかった」とか。例年ですが、具合の良さをアピールした公開記者会見のときと、あまりにもニュアンスが異なることに驚かされます。
 その先行力を生かすこともなく敗れたシャレータも同様。それでも、凱旋門賞2、3着であれば、ジャパンCの招待馬として十分な資格と理解が得られます。
 ところが、米国のミッションアプルーヴドはあまりにもひどい14着。この超スローペースを、絡まれることもなく楽に主導権を取り、まさに一人旅に持ち込めながら惨敗。これは能力云々よりも、体調に大きな問題があった可能性があります。当日の500万クラスであれば時計比較から4着が精一杯でした。
 出走していたのか出ていなかったのかわからないような12着のサラリンクス。関係者、家族の日本観光が主体のような参戦、こういった馬の招待に多額の出費を払う招待制度は、そろそろ廃止したほうが賢明のような気がします。暴騰する円高の中での2億5000万の優勝賞金。参戦したいのであれば自前で来日して下さい!それくらいの強気にJRAはなってもいいはずです。それがジャパンカップのレベルを上げることになるのだと思います。