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これは奇跡か幻か?タイム・オーバー馬が衝撃の日経賞3馬身半差!!


 12番人気のネコパンチが日経賞を制しました。それも初重賞制覇でGⅡ。驚いたのは3馬身半差の独走劇!
 こんなシナリオを書いても、競馬ファンからは相手にされない可能性があります。それもそのはずで、重賞4勝で、昨年の有馬記念は宝塚記念以来の実戦ながら、オルフェーヴル、エイシンフラッシュ、トゥザグローリーといったGI馬を相手に0秒2差の接戦。まさに古馬を代表するトップクラスのルーラーシップを相手にするわけですから、しごく当然な話。同様に昨年のダービー2着、菊花賞2着、ジャパンCでは5着の4歳の雄ウインバリアシオンも参戦しているのですから、誰の目にも8着までの入着賞金狙い、というふうに見られても不思議がありませんでした。
Img_2538  実際、成績がソコソコ良ければ、勢いでということがありますが、過去4戦がボロボロの二ケタ大敗続き。先行してバタバタ状態。不良馬場のステーヤーズSでは14着でマイネルキッツから3秒7差。オープン特別の万葉Sが5秒1差も離れたシンガリで入線。むろんタイム・オーバー。直前のダイヤモンドSでは優勝したケイアイドウソジンから2秒1も離された15着。まさにどうしょうもないボロボロの大敗続きで、オープンでは無理というお荷物的な存在だったはずです。一般的なきゅう舎であれば、障害とか退きゅうということになるのですが、今年もまだ未勝利だった星野きゅう舎の実情もあって、平地のオープンに在籍。
 そんな体たらくのどうしょうもない馬でも、奇跡という運命が訪れるものなのですね。
 私はこの日経賞はダイヤモンドSをブービー人気で逃げ切ったケイアイドウソジンが、今回も主導権を取って粘るだろうと見ていました。ルーラーシップとウインバリアシオンはお互いを牽制して後方に待機。ネコパンチが2番手で折り合いに専念しても、いつものように直線は失速するだろうから、逃げたケイアイドウソジンを直線ルーラーシップと、ウインバリアシオンが強襲してくるという読みを立てたのです。
 ところが、ケイアイドウソジンが吉田豊騎手から三浦騎手にチェンジ。このことが結果的に奇跡のドラマを生むことになったのです。
 それは、スタートで騎乗者の違いがハッキリ。好スタートから直ぐに先頭に立ったケイアイドウソジン。そこを内から江田騎手のネコパンチが激しくシゴキながら競りかけてきました。仕方なく控える三浦騎手。これが吉田豊騎手であれば主導権を強行に主張する性格。江田騎手もそのことは理解しているので、無理に競りかけたりはしなかったはず。
Img_2539  トントンと自己のペースで逃げるネコパンチ。これに巻き込まれまいと、出来るだけペースを落として先行しようとするケイアイドウソジン。後続の有力馬は成績からネコパンチなどは眼中になく、2番手のケイアイドウソジンを射程権に入れていければ・・という思惑が、ネコパンチの単騎大逃げを楽々許すことになってしまうのでした。
 2週目の3コーナーでは大きく開いたネコパンチのリードに、慌てたルーラーシップの福永騎手が早めのスパート。直線入り口で一気に2番手に進出したものの重馬場ということもあり思うように差が詰まらず、逆にゴール前ではルーラーシップの脚が鈍り、ウインバリアシオンがそこを捉えて2着。
 3馬身半差で優勝した江田照騎手のしてやったりという笑顔が実に印象的でした。江田騎手は1998年の日経賞で最低の12番人気で、どうしょうもなかった9歳馬テンジンショウグンを奇跡の優勝、単勝3万5570円を導き出した伝説の騎手。胸中はあの当時の日経賞に馳せているでしょうか。