秋の天皇賞を狙うGI級のダークシャドウとヒルノダムール。両横綱が参戦ということで、札幌記念は大いに注目されました。
なかでも、ドバイ遠征から帰国初戦となったダークシャドウ。昨秋の天皇賞は2番人気と、その成長ぶりをアピールしましたが、レコード勝ちのトーセンジョーダンの強襲にあって惜しくも半馬身差2着。
そのトーセンジョーダンは今年も札幌記念に登録があったのですが、直前で裂蹄のために回避。これで俄然、ダークシャドウの注目度がヒートアップ。むろん、昨年の春の天皇賞馬ヒルノダムールとて離された2番人気の5.0倍のオッズとはいえ、逆転できるチャンスは残されていました。
強力な逃げ馬を欠いて流れはスローと予測されたのですが、レジェンドブルーが主導権を取りに出て、すぐ外からアリゼオが変わって先頭に立ち、ミッキーパプキンがこれに続きます。そのとき、やや行きたがる素振りを見せてダークシャドウが積極策で2番手グループ。これをマークするように内からヒルノダムール。外にはフジマサエンペラー。前半の1000m通過が59秒5で、よどみない平均ペース。アリゼオの直後にミッキーパンプキン、外の2番手にダークシャドウ。内にフジマサエンペラーとレジェンドブルー。その外にヒルノダムールがダークを徹底マーク。中団のインにヒットザターゲット。その後ろをハナズゴールとマイネルスターリー。さらにその直後にはロジユニヴァースとフミノイマージン、ネオヴァンドームが並んで追走。
そして、3コーナーのところで事態は急変。外からまくるように進出したマイネルスターリーを追うように、ヒットザターゲットが外から急追。さらに4コーナーでは逃げたアリゼオを早めにのみ込んだダークシャドウが先頭。マイネルスターリーが外から並びかけます。ヒルノダムール、フジマサエンペラーも遅れまいと懸命の追い出し。そのとき大外をまくるようにフミノイマージンが一気に好位置に接近。
追走する周りの馬を振り切るように直線入り口で先頭に立っていたダークシャドウ、追うヒルノダムールの人気2頭で決まりか、と思われた矢先、ダークシャドウの外から直線弾丸のように突き抜けた馬がいました。フミノイマージンです。太宰騎手とのコンビで重賞を3勝。ここ2戦は池添、藤田騎手で不発でしたが、相性度抜群のコンビが復活。見事な札幌記念の優勝でした。
一方、6歳牝馬に屈したダークシャドウ。せわしない展開の中で、強気と思える2番手の正攻法。4角では力で押さえつけにかかるかのような福永騎手。4年前のタスカータソルテが記録した1分58秒6のレコードに、4ヵ月半ぶりの実戦で0秒2差まで迫ったのですから、素直にダークシャドウを誉めるべきかも知れませんが、ヒルノダムールくらいの位置で、競馬が出来ていたら結果はまた違っていたような気もします。
一方で、絶好の展開となりながら3着に惜敗したヒルノダムール。春の天皇賞以来の実戦ということを考えれば、この3着は時計的にも上々かも知れませんが、ダークシャドウを徹底マークして行き、かつ絶好の展開になりながら捉え切れなかったことから、今秋のGI戦線で優勝という二文字が、少し遠のいたかなという気がして淋しい思いです。
札幌記念で単勝1.7倍と圧倒的人気のダークシャドウは作戦ミスではなかったのか?
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