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菊花賞に見たクラッシクを制するには冷静さと大胆さが・・


1  クラシック3冠目の「菊花賞」。直前で参戦予定だったダービー馬ディープブリランテが直前で回避。右前の屈腱炎という残念なニュース。ということで、今年はダービー上位4頭の姿が見られない菊花賞となりました。
 となると、必然的に皐月賞を勝ち、ダービーでもゴール前で大外から鋭く追い込んだゴールドシップが、直前のトライアル、神戸新聞杯の圧勝からも圧倒的な人気に推されることになったのです。単勝1.4倍という断然の人気でした。
 ただし、1番枠を引いたゴールドシップが目標とする馬の回避で、目標を見誤らないか、あるいはこの1番枠でどんな作戦に出て来るのか、断然人気のゴールドシップゆえに、チョットしたことでも不安が増幅していくのでした。
 レース後、内田博騎手は「この枠順だからある程度は前に行かせたい、出来れば中団くらいに・・」と考えていました。
3 4
5 6
 スタートと同時にゴールドシップの内田博騎手の手綱が激しく動きます。ところが周りの馬のダッシュ力が速く置かれて後方。最後方まで後退してしまいました。
 ああ、これは大変なことになった。恐らくスローペースだから3000mとはいえ前半大きく置かれてしまっては、4角で大外を回らなければならないし、いかにゴールドシップとはいえ厳しいぞ、という不安が過ぎりました。
 レースはビービージャパンが自然と先頭という形ではなく、ここは主導権を何んとしても取りたいという感じで奪いに行きます。これに大外枠のトリップが2番手で、岩田騎手に乗り替わったコスモオオゾラ、そしてタガノビックバン、フジマサエンペラーが先行馬群を形成。前半の入りは4ハロンで49秒3。案の定スローでした。
7_2  中団のインに3連勝中のフェデラルホール。ここには今回は控える作戦のニューダイナスティ、そしてミルドリームとアーデント。中団馬群の後ろには2番人気のマウントシャスタ。後方グループにはユウキソルジャー、ベールドインパクト、ロードアクレイム、スカイディグニティが一団となって追走。離れてここにゴールドシップで、最後方がダノンジェラード。
 ここで不思議なことが起きました。最初の1000m通過前後に11秒6-11秒6と、ビービージャパンが急にスピードアップ。この不思議なペースアップが菊花賞の結果を大きく左右することになったのでした。先行馬群、それに続く馬たちも必然的にペースアップ。ところが、7ハロン目からが12秒6-12秒5と、またペースダウン。1400m通過時点でした。
8_2  このペースダウンで遅いと感じた後続馬が動き始めました。ゴールドシップが外から動いて一気に中団に進出。京都競馬場の名物の坂下では、じんわりと好位近くまで押し上げて先行馬を射程圏。これを見てマウントシャスタが3番手に浮上。スカイディグニティも好位置の直後までに進出。外から一気に後続軍団にかぶせられる形で浮上、先行した馬はみな苦しくなりました。
 ここが勝負どころと判断した川田騎手のマウントシャスタが4角で先頭。これにすかさず続いたのが内田博騎手のゴールドシップ。ここで先頭のマウントシャスタに馬体を併せたゴールドシップの手応えが抜群。スカイディグニティも目標とする馬が動いたので、遅れまいと好位に進出し、前を必死に追います。ラニカイツヨシ、ロードアクレイム、フェデラルホール、ベールドインパクト、ユウキソルジャーも追撃態勢。
 直線でマウントシャスタを振り切って先頭にたったゴールドシップ。ここで勝負あったという脚勢。ゴールを目指して芦毛の馬体が踊ります。これを追ってスカイディグニティが、しぶとく脚を伸ばしてきます。更にはベールドインパクトが外から3番手に上がったものの、ゴール寸前でユウキソルジャーの決め手が勝りベールドを捉えて3着。
9 10
11 2
 ゴールインした内田博騎手はハデなパフォーマンスを封印。ただただ1.4倍という圧倒的な人気に応えられた安堵感。そこには職人、内田博騎手ならではの気質を感じ取ることができました。
 クラシックを制するには冷静さと、そして大胆さが不可欠であることを、今回の菊花賞の内田博・ゴールドシップを通して教えられた気がします。