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ベールを脱いだ内田流の連発必殺パフォーマンスに酔いしれた10万の観衆!


直線外から真っ白な馬体をいっぱいに弾ませて踊り出たのが、1番人気に推された3歳馬ゴールドシップでした。 優勝を確信したそのとき内田博騎手は、スタンドに顔を向けて左手を口に当てて投げキッス風。こんな内田騎手のパフォーマンスをかつて見たことがありません。そしてパフォーマンスは続きます。

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馬上で腰を浮かし気味に、上体をスタンドに向けて左手で大きなガッツポーズの態勢でゴールイン。さらにゴール板前を過ぎると、握った左手の拳を高々と上げて「やったー」とアピール。そして今度は右手でグイグイとガッツポーズを披露。「よし、よくやった!」とばかり、ゴールドシップの頭、首の辺りをポンポンと叩いて労をねぎらう姿が見て取れました。 さらに今度は内馬場の方面に向って、握りこぶしを高く上げて「やったぞー!」のポーズ。これが絵になるからさすがです。内田博騎手ではなく外国人ジョッキーか、と見間違うほどのパフォーマンスぶり。これにはスタンドで待ち構えたファンが、やんやの拍手で迎えたのでした。

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ゴールドシップが多くの支持を集めて単勝2.7倍の1番人気。強力ライバルと思われた古馬のルーラーシップが3.7倍で、3番人気のエイシンフラッシュが10倍という、まさにゴールドかルーラーか、いわゆる“シップ”同士の頂上決戦となったのでした。

ところが、スタートで驚愕の事態が発生。強力ライバルであるルーラーシップが、ゲート内で飛び上がるようなスタートを切ったために、致命的ともいえる大きな出遅れ。1頭ポツンと取り残されてしまいました。ゴールドシップもスタートの甘さを見せて2馬身くらい遅れてしまったのです。当然ながら場内は騒然。これは大変なことになってしまった、という思いが場内を包んでいるようでした。

飛び出したのがアーネストリー。昨年の有馬記念もいい感じのペースに持ち込んだものの10着に敗退。それ以来、主導権を取ることだけは意識的に避けてきたのに、この日は逃げにこだわりの戦法。同じ馬主のビートブラックが2番手に控える競馬。

私の脳裏にはビートブラックが先手を取り、2番手以下を離し気味にレースを作っていく、そう春の天皇賞でトーセンジョーダン、ウインバリアシオン以下を大きく突き放して優勝したイメージから、内心期待するところがあったのです。

しかし、これではアーネストリーが速いピッチで飛ばさない限り、3番手以下が離れないし引っ付いてくる。そしてヨーイドンの形。これはビートブラックにとって最悪のパターン。スタンド前の大歓声で各ジョッキーが懸命に手綱を引いている中で、一気にアーネストリーを抜いて先頭に立って行くべきだろう、そして2番手以下の差を広げていく。残された作戦はこれしかない。そう私は考えたのでした。

ところが、ビートブラックの石橋脩騎手は動かず。スタンド前はアーネストリー、2番手にビートブラック、その外にルルーシュ。その直後にローズキングダム、追い込みのスカイディグニティとダイワファルコンが続きます。その後に横に広がる形で、内にデムーロ騎手から急遽、三浦騎手に乗り替わったエイシンフラッシュ、オーシャンブルー、トレイルブレイザー、ダークシャドウとトゥザグローリー。中団後方にナカヤマナイト。そして少し離れた位置にネヴァブションとオウケンブルースリ。そこからまた少し離れて注目のゴールドシップ。その後ろにルーラーシップ。

前半の1200m通過が1分13秒1。まずまずの平均ペース。局面が一転したのが、3コーナー過ぎ。ルーラーシップが内から徐々に進撃態勢。最後方にいたゴールドシップの内田騎手の手が激しく動きます。先頭から後方までがギュと狭まってきました。

4コーナーが目に入って行ってきました。先頭にアーネストリー。それに並びかけようとビートブラック。ルルーシュがその外。インにローズキングダム、スカイディグニティ。その直後からエイシンフラッシュが急接近。オーシャンブルーとその外からダークシャドウも迫ってきます。そして、3コーナー過ぎから一気に仕掛けたゴールドシップが外からグングン肉迫。大外をまわったルーラーシップも強襲態勢ですがまだ後方。

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直線、インから一気に突き抜けて飛び出したのがエイシンフラッシュ。それを追ってオーシャンブルー。そのときゴール前の坂を勢い良く駆け上がってきたのがゴールドシップ。前の2頭を一気に捉えるとゴールに向かい真一文字に伸びます。

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優勝を確信した内田博騎手はスタンドを意識して投げキッス。ゴールでは左手を高く掲げて喜びをアピール。比較的冷静な内田騎手にとっては、大変珍しい光景でした。きっと本人にとっても忘れることのないシーンになったことでしょう。

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ルーラーシップが外から鋭く伸びて急接近してきましたが、オーシャンブルーにクビ差届かず3着。スタートで致命的な出遅れだったことを踏まえると、なんとも惜しい一戦でした。これも競馬、GIという重さなのでしょうか。

皐月賞、菊花賞、有馬記念。見事なゴールドシップのGI制覇でした。

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