昨年はゴールドシップとディープブリランテで決着したクラシックに直結する「共同通信杯」は、トップクラスの3歳馬が少なく、やや小粒な印象がありました。
ところが、結果的にとてつもない馬との遭遇というドラマが待っていたのでした。優勝馬は単勝5・6倍のメイケイペガスター。昨秋の阪神でデビュー戦を快勝。ラスト33秒0というケタ違いの破壊力を見せつけ、一躍クラシック候補にノシ上がったのでした。
ところが、2戦目のデイリー杯2歳Sで1番人気に支持されながら、出遅れて11着と大敗。ここで立て直しの意味で休養。年明けの若駒Sから再スタート。4番人気でしたが出遅れから直線グイグイと肉迫。リヤンドファミユの3着に好走。再び春に向けて第1歩を踏み出したのでした。
とはいえ、スタートに難があり、今回も出遅れた場合にそれをハネ返すだけの力は、やや無理かも知れないと、私は考えたのです。
今回はマイネルマエストロが主導権を取って、2番手のマイネルストラーノが競りかけず、まさにマエストロの単騎逃げ。ラスト34秒台の決着では後方から届かないだろう、そう考えたのです。
実際、メイケイペガスターはスタートで隣の馬に寄られる感じで出負け。ところが、二の脚を利かせてスーと3番手に進出。今回は横山典騎手と初コンビ。「位置取りは自分がイメージしていた通り」とレース後に語っていたことからも、狙ったポジションだったようです。このことが、今後大きな意味を持つことになるような予感がします。それは自在に動ける器用さが、中山のようなトリッキーなコースには絶大だからなのです。
レースは予測通りにマイネルマエストロの単騎一人旅。2番手がマイネルストラーノ。これにピッタリとメイケイペガスターが追走。その後は内にマンボネフュー。2番人気のゴットフリート、ザラストロ、直後の内に1番人気ラウンドワールド。ケイアイチョウサンとクロスボウが後方。
前半の3ハロンが36秒0で半マイルが48秒1のスロー。この流れを察知した横山騎手は、早目に2番手のマイネルストラーノの外に並びかけて行きます。後ろにはマンボネフューとゴットフリートが牽制する形でピタリと追走。ラウンドワールドが少し離された中団で、スパートのタイミングを狙います。
直線先頭でまわってきたマイネルマエストロに、外からメイケイペガスターがじんわりと馬体を並べようと機を窺っています。そこに迫って来たゴットフリート。そこから一気に前の馬を捉えようとしたときに、横山典騎手が満を持して追い出しをかけると、メイケイペガスターがあっという間に先頭に立ち、迫って来たゴットフリートを突き放す感じで1馬身半差の快勝。時計が1分46秒0、ラスト3ハロンが33秒8。昨年優勝のゴールドシップが1分48秒3、ラスト33秒3だったことから比較しても出色のレベルです。間違いなくクラシック級の逸材。
横山典騎手は3歳を代表するコディーノに騎乗。これからクラシックに向う上で、なんとも悩ましく、また嬉しい熟考を迫られることになりそうです。
一方、2着に敗れたゴットフリートもベストパフォーマンスが朝日杯FSの3着。NHKマイル路線か、はたまたクラシック路線か、これはこれでまた悩ましいところです。
1番人気のラウンドワールドが4着、3番人気のマンボネフューが5着。きっちり仕上げて出てきたことからも今回の敗戦で、次走がまさに正念場になりそうです。