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温和な鹿戸調教師が怒り心頭のこととは・・?(―_―)!!


 常々疑問に思っていることがあります。外人ジョッキーと細かいコミュニケーションを取る場合、一般的には通訳を通して計るものですが、調教師が競馬独特の専門的な事柄を伝えたい場合に、その通訳の語学上の力量、解釈によっては、うまく調教師の意図がパーフェクトに伝わらないのではないか、そんな疑問が残ります。

 先週の東京競馬7日目は、3400mのマラソンレース「ダイヤモンドS」でした。長距離レースは数が少なく、ステイヤーを持つ調教師は一戦一戦が、まさにGI並みの全力投球なのです。

 このレースで私はノーステアという馬に注目していました。前走の東京、準オープン早春Sを勝ったばかりですが、デビュー以来12戦、全5勝はすべて東京芝だけでしか勝っていないのです。2、3着も東京。それも芝2400mのスタミナ戦を専門に走ってきて、この2400mで4勝の実績。それゆえ、芝3400mは初めての経験とはいえ、持ち前のスタミナからマイナス要因とは考えられませんでした。

 馬に勢いのあるうちに、狙ったレースである今回のダイヤモンドSを使う、という鹿戸調教師の青写真は当初から予定されていたようです。そして、直前の追い切りが実に素晴らしく、55Kのハンデもあって、そこで鹿戸調教師は自信を深めたそうでした。

 騎乗者に選んだのがビュイック騎手。初めてのコンビで、いわゆる“テン乗り”。当然、通訳を通して、馬のクセ、位置取り、仕掛けのタイミング等、コミュニケーションを取ったそうです。

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 レースを振り返ってみましょう。最内からケイアイドウソジンが飛び出し、そうはさせまいとネコパンチが押して押して先頭を奪取。従って前半2ハロン目から11秒0-11秒4まで加速。グングン2番手以下を引き離す形でネコパンチの大逃げ。2番手がケイアイドウソジンで、3番手のラッキーバニラが離される展開。また4番手に上がったエーシンジーラインも前とは離れた位置。2コーナーでは5番手のメイショウカドマツまで、ポツン、ポツンといった状態で、先頭から最後方まで大きく広がる縦長の形。前半1000mが1分を切る緩みない流れ。

 勝負どころ2週目3コーナーで、ネコパンチを捉まえに出たケイアイドウソジンが並びかけます。ここから1番人気のアドマイヤラクティが好位グループにつきました。中団にはメイショウカドマツ、さらに後ろに春の天皇賞馬ジャガーメイル。そこからまた離れて後方2番手がノーステア。

 そして、アドマイアヤラクティが4コーナーで先行馬を射程権。そして直線入り口でロングスパート。「馬のほうが我慢しきれず出て行ってしまいました」と内田博騎手の談。坂下で先頭に立つと勢いは止まらずゴールを目指します。先行勢は一気に後退。そこを最内からしぶとくメイショウカドマツが接近。その外に58・5Kを背負ったジャガーメイルが懸命に前を追いかけます。

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そのときでした。後方にいたノーステアが外に出して凄い勢いで伸びて来ました。ところが内、外にフラフラして真っ直ぐ走らず。ゴール前も外に外に切れ込む形で、前を行く3頭に肉迫。

結局、優勝はアドマイヤラクティ。ジャガーメイルがメイショウカドマツをクビ差だけ捉えて2着。外に切れ込みながら半馬身差の4着がノーステア。余りにもロスある内容に、真っ直ぐに走っていれば・・という思いが残る無念の4着。

鹿戸調教師は私の顔を見るなり「ビュイック?ヤツは下手クソだね。あんな後ろから行くなんて、指示したことをちゃんと乗っていない。しかも、この馬はまわりに他の馬がいないと止めようとしたり、ふらつくクセがあるから馬込みの中に入れて行くようにと、言ってあるのに、ヤツは他の馬がいない外に出して・・。どうしようもないな」と怒り心頭の様子。

「通訳にはその辺のところも言ったんだけどなあ・・。オーナーには勝ち負けできる状態につくってあるからと連絡したし、おそらく馬券も沢山買われたんだろうな。なんといってお詫びしたらいいんだろう」とショックを隠しきれない表情で戻っていきました。

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通訳との意思疎通ができているのか。外人ジョッキーが騎乗する際には、このことがうまく伝わり、理解できているのか。M・デムーロ、ルメールといった日本でお馴染みのジョッキーが活躍できるわけは、この意思疎通、理解力があるようにも思われました。