2戦目の未勝利戦をケタ違いの末脚でレコード勝ち。続く紅梅Sも役者が違いを見せつけて独走。レッドオーヴァル陣営にとっては、チューリップ賞で弾みをつけて本番の桜花賞に向いたいところだったはずです。
一方で昨年の2歳牝馬の総決算、阪神ジュベナイルFを制したローブティサージュ。レッドオーヴァル同様にチューリップ賞をゲットして、意気揚々と本番に臨みたかったことでしょう。いずれにしても、この2頭が1、2番人気を分ける形で迎えた桜花賞トライアル・チューリップ賞。
私はアルテミスSで本命に指名し、阪神JFでもイチオシの◎に推した関東馬アユサンを三度本命。阪神JFはショック的な7着敗退。敗因は18番枠で出負け。4角では大外に出したら凄い向かい風。馬格のあるアユサンでもこれには応えたようでした。
「アベコー先生、アユサンはダメだったじゃないですか!」と、当時、ガチ馬のAKBの生徒たちからは責められる始末。
「こんなはずではないので、次に出てきたときには必ず巻き返してきますからね」と彼女たちと約束。
年明けの東京、アルテミスSと同じ舞台のクイーンCで汚名返上だ、とばかり注目していたのですが「それがね、私もクイーンCに照準を合わせてきたのだけど、寝違えてしまったようで、使えないこともなかったんですが、ここで無理してもしょうがないし、チューリップ賞に向うことにしました」と手塚調教師。
そんな事情もあって、私とアユサンとのコンビは、いずれにしても引くに引けない3歳牝馬戦線に突入することになったのでした。
さて、チューリップ賞は典型的な逃げ馬が不在。おそらくクロフネサプライズが主導権を取って一人旅に持ち込めるかも知れない。阪神JFでもクビ差2着だ。そう考えてアユサンの相手を○クロフネサプライズ。
実際、スタートで躊躇なしに武豊クロフネサプライズが先頭。驚いたのがいつも出負けしていたアユサンが互角のスタート。外からウインプリメーラが2番手に進出。プリンセスジャックとアユサンがそのあと。アユサンはいつもとは違うポジションに、やや戸惑ったのか少し掛かり気味。
グッドレインボーが好位で、ウリウリ、ヴィルジニアあたりが中団。そのあとの後方には人気のローブティサージュとレッドオーヴァルが追走。
前半の3ハロン通過が35秒9。昨年のハナズゴールが勝ったときが35秒7で昨年と同じようなスロー。半マイルが48秒0で、1000m通過は60秒2。2ハロン目から12秒台で流れます。しかも、後続はとくに目立った動きはなし。
4コーナーを先頭で回ってきた手応えバッチリのクロフネサプライズ。ウインプリメーラも手応えは上々。3番手の内にいたプリンセスジャックの脚色が怪しくなり、その外にから我らがアユサンが前を射程権に入れます。内からグッドレインボー、その外からヴィルジニアもジリジリと接近。後方のローブティサージュは今ひとつ迫力が乏しく、大外に出したレッドオーヴァルも前を行くクロフネサプライズとは絶望的な位置。
先頭のクロフネサプライズは直線で再び再加速。そのまま突き抜けて3馬身半差の圧倒的な強さで優勝。ウインプリメーラも2番手でしぶとく懸命の粘り腰。直線3番手に進出したアユサンが、一瞬、前を捉えるかのような勢いをみせたのですが、アルテミスSで見せたケタ違いの豪脚は見られず、ウインプリメーラに馬体を併せようとしたところがゴールでした。アユサンは手前の走法がなんとなくスムーズでなく、阪神の馬場が向かない印象のようにも思えました。
騎乗した丸山騎手は「前走よりもマシでしたが、どうも右回りは上手ではないですね。本来はあそこから突き抜けるくらいの脚を使う馬なんですが・・」とコメント。
となると、桜花賞よりも東京のオークス向きなのか・・。もう一度検証して見る必要がありそうです。
さて、結局1番人気のレッドオーヴァルはゴール寸前で大外から鋭い脚を見せましたが7着。またローブティサージュも9着に敗退。圧倒的な1番人気馬が掲示板にものれない凡退。同じ舞台、同じ距離の桜花賞まであとひと月。とくにレッドオーヴァルはデビューから馬体が減り続け、446Kあった馬体が今回は426K。あと1ヵ月で回復するのか、再び黄色の信号が点っているように思えます。