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サダムに見た幻想と雪の空白の一日・・


 東京競馬場は開幕週に続いて雪景色。2週続けて日曜開催が月曜日に変更される予期せぬ事態。4日目のメインは「共同通信杯」(トキノミノル記念)。かつてナリタブライアンやエルコンドルパサー。ジャングルポケットにアドマイヤムーン。優勝馬の盾には輝かしい名前が刻んであります。
 今年はその仲間に入ろうとする噂の大物候補、サダムイダテンが登場。担当の中村調教師がいわく「今まで素晴らしい馬は何頭か見てきたけど、こんな凄い馬とは初めて出会った」といい、安藤勝騎手も「本当に素晴らしい素質を感じさせる」と、絶賛。それに平行して各マスコミも手放しの褒めちぎりよう。不動、2着探しという見出しが目につきます。それゆえ単勝オッズは1.5倍と断然人気。その理由はすべからく、前走のラジオNIKKEI杯2歳Sで、驚くべき2着したからとのこと。確かにスタートで後手に回り最後方。超スローペースの中で直線大外から、もの凄い脚で強襲してきた内容は1頭抜きん出ていました。さすが1番人気馬。負けて強し。この一戦だけで3歳クラシック戦線の大将格にのし上がったのです。
 ところが、時計が2000mで2分7秒0。極端に超スローペースだったから時計が遅くなるのは当然でしたが、それにしても平凡すぎます。サダムイダテンだけが馬場のいい外を通って鋭く2着。ラスト34秒7は3番手で展開したサブジェクトと0秒6差。
 つまるところ、このレースはラスト3ハロンのヨーイ、ドンの競馬。どの馬が切れるか、破壊力があるか、だったような気もします。他の馬があまりにも切れ味が今ひとつの馬ばかりで、ことさら特別にサダムイダテンの末脚の威力が目立った、ともとれるのです。これはひょっとして、ケタ違いに強いという幻想を見ていたのかも知れない。ちなみに、サダムイダテンが豪脚を披露した翌日、同じ京都の重馬場で2歳500万を制したリトルアマポーラは、ラスト3ハロンが34秒3。数字だけなら34秒7のサダムを凌ぐ豪脚を見せていたのです。
 そして、初めての左回り、更に初めての長距離輸送。資質の高い馬ではあるけど、本当に大丈夫なのだろうか。
 また、サダムイダテンは水曜日に栗東で追い切り、金曜日に東京に移動。ところが、このスケジュールは日曜日に競馬開催があるということを前提としたものです。降雪で1日開催がずれ込むことで、体調に変異がなかったか疑問です。実際、栗東で水曜日に追い切ったサブジェクトが9着。イイデケンシンが13着。散々でした。
 空白の1日となった日曜日に、サダムはコースに出て軽い運動をさせたのですが、結果には結びつきませんでした。
 共同通信杯は5着。ゴール前で15番人気のシングンリターンズとの叩き合いにだけは負けて欲しくなかった、というのが本当の気持ちです。