“王者とはこうでなくちゃ”と、多くのファンを魅了した我らが大将オルフェーヴル。今年初戦は「大阪杯」に登場。昨年のジャパンCで若き女傑のジェンティルドンナのハナ差2着に敗れたものの出走してくればダントツの1番人気は確実。それゆえ当然とはいえ仕上げるスタッフにかかるプレッシャーは想像に難くないと思います。
オルフェーヴルの当日の馬体重が464K。ジャパンCが458Kだったことから比較してプラス6K。一昨年、菊花賞、有馬記念を連勝したときが460K台。関係者スタッフが渾身の仕上げでオルフェーヴルを甦らせたのでした。
こうなると、昨春の阪神大賞典で見せたアクシデント的逸走が出ない限りにおいては、負けられないというファンの声、願いは相当な確率で実現しそうでした。
今年の大阪杯は強力な逃げ馬が不在。というよりも、ほとんどの馬が差し、追い込みの脚質。これはひょっとして、楽にあまりにも楽に逃げることができたら、打倒オルフェーヴルがあるかも知れない。であるとすれば、ヴィルシーナしかいない!あのジェンティルドンナ相手に牝馬3冠いずれも2着。なかでも大阪杯と同じ2000mの秋華賞ではジェンティルドンナのハナ差2着。当時2番手から直線先頭に立ち押し切ったか、と思えたレースを展開していたことから、打倒オルフェーヴルも考えて、穴党の私はこのヴィルシーナ期待したのです。
ヴィルシーナの逃げ切りもあるかも知れないぞ、と考えていたところ、なんと主導権を取ったのが追い込みタイプのコパノジングー。枠順が1番枠だったということからか、これまで通りに乗っても無理という判断からか、思い切って逃げるという玉砕戦法。外からヴィルシーナが顔を覗かせましたが、競輪のスタート時のように相手を窺っている間に、内からトウカイパラダイス、そしてダークシャドウが進出。その直後にヴィルシーナ。GI馬として忘れかけてきたローズキングダムが中団の前。中団の内にエイシンフラッシュが待機して、それを前に見る形でオルフェーヴルは、やや行きたがる素振り。ショウナンマイティが最後方から2番手。
前半の3ハロンが36秒7、半マイルが48秒9。やや離し気味に逃げるコパノジングーでしたが、1000mの通過が61秒5。予想通り典型的なスローペース。この体列で進み、3コーナーでじわっと好位置に押し上げたエイシンフラッシュ。後方のショウナンマイティの浜中騎手の手綱が動き追撃態勢。
4コーナーをまわって逃げるコパノジングーにトウカイパラダイスが並びかけます。エイシンフラッシュとヴィルシーナ。内にダークシャドウ。オルフェーヴルが大外まわって前を追います。
直線先頭に立ったトウカイパラダイスその外にエイシンフラッシュ。と、その外にはあっという間にオルフェーヴルがもの凄い勢いで馬体を併せてきました。内からダークシャドウ。早目に抜け出すオルフェーヴル。頑張るエイシンフラッシュ。そのとき大外から赤い帽子のショウナンマイティが猛然と強襲。
それでもオルフェーヴルの勝利は揺るがず、半馬身差振り切って優勝。ファンの期待に応えました。
2着は強烈な末脚を披露したショウナンマイティで、クビ差エイシンフラッシュを捉えていました。
ラスト3ハロンが11秒3-10秒9-11秒5。33秒7という究極の争いの中で優勝したオルフェーヴル。自身も33秒0の破壊力。それ以上に32秒9の神業的な瞬発力を見せつけたショウナンマイティ。さすがにGI級の決着に観衆は感嘆と拍手の嵐。
おそらくオルフェーヴルは宝塚記念→渡欧というスケジュールと思われますが、いずれにしても今年もわが国の誇る王者から目を離せません。
一方、ヴィルシーナは6着と敗退。5ヶ月の休養明け、オルフェーヴル級が相手と荷が少し重かった感じです。ヴィクトリアマイルでの巻き返しに期待しましょう。
また、ローズキングダムは12着。マッハヴェロシティやテイエムアンコールに先着されているようでは、過去の栄光は遥か昔。好きな馬なので残念です。復活の日はくるのでしょうか。