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名ストッパー大魔神!5度目の挑戦でようやくGI制覇に辿り着いた歓喜の汗と涙!


 優勝セレモニーから花束を手に引き上げてきたひと際、背の高いスーツ姿の御仁。それが“大魔神”こと佐々木主浩さん。傍らにはその子供たちと、今もって見目麗しい加奈子夫人。

 桜花賞、オークス、秋華賞の牝馬3冠で宿命のライバル、ジェンティルドンナの前にいずれも2着。ジェンティルドンナを欠いたエリザベス女王杯では、道悪巧者のレインボーダリアのクビ差2着。GIというタイトルが、ヴィルシーナにとっては、なんとも遠い1年でした。

 そして、今回のヴィクトリアマイルはヴィルシーナにとっては、あの宿敵ジェンティルドンナが不在。しかも、桜花賞でジェンティルと半馬身差で渡り合ったマイル戦。休養明けの大阪杯をひと叩きして、まさに背水の陣ともいうべき一戦だったのです。

 ゴール前のデットヒートで昨年の覇者、ホエールキャプチャの執念のような追い込みを退け、電光掲示板には”ハナ差“の文字が点滅。

 「やりましたねー、おめでとうございます!」という言葉には聞きなれているはずの大魔神。

 私の顔を見るなり「あ、アベコーさん、ありがとうございます。もの凄く嬉しいです」と、滝のように流れ出る汗を拭きながら、ありったけの笑顔で返してくれました。

 少し離れたところにいた加奈子夫人も私の顔を見るなり「また2着かと思いました。本当にありがとうございます。まだドキドキしていますよ」と、幸せスマイルで気持ちを表していました。

 今年のヴィクトリアマイルは昨年のクイーンズバーンのような典型的な逃げ馬を欠いて、前残りの競馬になりそうな予感がありました。

 スタートと同時に飛び出したのがヴィルシーナ。それは抜群のスタートでした。一方、ホエールキャプチャは躓き気味のスタート。結果的にこの差が最後の最後に出るとは、この時点では、当然ながら知る由もありませんでした。

1

 そして周りに目を配り何が行くのか、行かないなら自分が行こうか、とばかりに内田博騎手が相手の出方を探ります。

 そして、ヴィルシーナの内から戸﨑騎手のアイムユアーズが並んで行き、これを抜いて先頭。内田博騎手のヴィルシーナが手綱を引いて2番手。その内にからマイネイサベルが1番枠とヴィルシーナをマークするということからか一転した積極策。外から進出してきた少し掛かり気味のメーデイアと共に3番手を争います。その後ろにドナウブルーと3番人気のサウンドオブハート。中団には内にオールザットジャズがいて、その直後に2番人気の切れ者ハナズゴール。外側にはホエールキャプチャとイチオクノホシ。後方にはジョワドヴィーヴルとレインボーダリアで、最後方がアロマティコ。

前半34秒6、半マイルが46秒3。昨年のヴィクトリアマイルと同じようなペースで流れて行きます。

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 主導権を取ったアイムユアーズの直後で満を持していたマイネイサベル。前のヴィルシーナの内から一気に仕掛けて先頭に立ちかけたのが直線ラスト400m手前。これを見たヴィルシーナの内田博騎手もラストスパート態勢。他の先行勢がこれに咄嗟に反応できず置いていかれます。中団から外に出したホエールキャプチャの脚色が良く前に急接近。先頭はマイネイサベル、追うヴィルシーナ、外からホエールキャプチャ。ハナズゴールも直後に迫っていましたが鋭さがなし。大外からジョワドヴィーヴルも来ています。

 内にマイネイサベルその外にヴィルシーナ、そして並びかけたホエールキャプチャ。3頭の激しい叩き合い。真ん中のヴィルシーナがグイと鼻先を伸ばしたところがゴールでした。それにピッタリと馬体を併せたホエールキャプチャ。

45  6

 ゴールを過ぎて共に顔を見合わせて「どっち?」とばかり表情を投げかけ合う二人。そして電光掲示板には「11」番の馬番号が点灯。スタンドは大歓声。

7 8 910

 1分32秒4の優勝タイム。昨年と同タイムの決着でした。また、この時計は4年前の勝者ウオッカ、3年前の優勝馬ブエナビスタと同じタイムだったのです。

 ヴィルシーナはこのあと宝塚記念を視野に調整を進めて行くことになりそうです。またジェンティルドンナの対決が楽しみになりました。