昨年のゴールドシップ、一昨年がオルフェーヴルと、本番の菊花賞に大きな影響を与えてきた菊花賞トライアル「神戸新聞杯」は、圧倒的な1番人気に支持されたエピファネイアが圧勝。さすが日本ダービーでキズナと半馬身差の大接戦。その地力の違いを見せつけてくれました。
折り合いだけが課題というきゅう舎陣営でしたが、中団で前を行くタマモベストプレイをカベにして折り合い、勝負どころの4コーナーで好位。直線外から2番手に上がり、抜け出すという完璧なストーリー。
それはまさにエピファネイア陣営の思い浮かべた青写真通りでした。これまでは、ともするとカーっとして一気に行ってしまう気性の持ち主。そのことがこの馬の大きなネックになっていたようで、コンビを組む福永騎手も不安として挙げていたのですが、この神戸新聞杯の1勝は実に収穫多い優勝だったに違いありません。
時計が2分24秒8、ラスト34秒5。昨年のゴールドシップが2分25秒2、ラスト35秒8。一昨年のオルフェーヴルが2分28秒3、ラスト33秒6で、3年前のローズキングダムの2分25秒9、ラスト33秒8と比較しても、なんら見劣ることはないのです。
ところが、今回の神戸新聞杯はダービー出走組が5頭だけで、ダービーで掲示板に載ったのがエピファネイア1頭。対戦相手に恵まれたことも事実でした。
レース後の勝利者インタビューで「馬込みに入っていなくても折り合いがついて、本当にリラックスして走っていました。しっかりコミュニケーションを取れたことがなによりですね。やっと乗りこなすことができました」と福永騎手。
プランとして天皇賞⇒ジャパンCという案もありましたが、順当にキズナ不在の菊花賞に向かうことも十分です。万一、菊花賞に不参戦ともなれば、ダービー上位馬のいない菊花賞となり、3冠目の菊花賞の存在意義が問われかねない事態に陥ってしまうことになりそうです。
今回の神戸新聞杯で2着だったマジェスティハーツ。最後方を進み、直線勝負に徹して大外から一気に飛んできました。ラスト3ハロンが33秒6という凄い破壊力。過去10年、連対馬はすべて前走が重賞だった“鉄の掟”があったのですが、それを打ち砕く快挙的激走。騎乗した森一騎手は▲の減量騎手で、クラシックは騎乗できず、残念ですがこれも彼には試練なのかも知れません。
私はそのマジェスティハーツと同じくらいの脚が使えたはずのテイエムイナズマに期待したのですが、主戦で予定していた幸騎手が負傷で乗り替わり。急遽、四位騎手にバトンが渡りました。テイエムイナズマも難しい気性の馬で、幸騎手がようやく手の内に入れかけたときの乗り替わり。出遅れて最後方。直線勝負賭けたのですが、そこにはダービーで見せたような鋭さはなく、8着に押し上げるのがやっと。なんとか菊花賞で巻き返しを期待しています。