天皇賞を直前にして重要なステップ・レースが「毎日王冠」。中距離を代表する古馬陣が東京に集結しました。
そのなかで人気を集めたのがショウナンマイティ。大阪杯で優勝した王者オルフェーヴルに半馬身差まで肉薄した末脚。この強烈なGI級のパンチ力で、前走の安田記念では初めてのマイル戦にもかかわらず優勝したロードカナロアに首差の大接戦。それゆえ毎日王冠で人気の中心に推されてもなんら不思議はありませんでした。
とはいえ、スローペースが予測される展開で、後方一気の極端な競馬で届くのかどうか。あるいは本番を直後に控え、安田記念以来の実戦で本当に大丈夫なのか、不安の声も少なくはありませでした。
そういった中にあって、優勝したのがエイシンフラッシュ。3年前のダービー馬、昨秋の天皇賞馬でもあります。今回は4月の香港遠征以来の実戦。天皇賞連覇を狙って今回の毎日王冠は叩き台ではないだろうか?私はそんな予感が脳裏を過りました。
スタートでポンと飛び出したクラレント。他が躊躇しているので押し出されるように主導権。2番手にミッキードリーム。その外から仕掛けてレッドスパーダ。少し離れてエイシンフラッシュ。またそこから2馬身くらい差があって内にダークシャドウ、外にボレアス、その外にスタートを五分に出たジャスタウェイ。直後のインにショウナンマイティで、出遅れた2番人気のコディーノが後方で続きます。
3コーナーを先頭で回るクラレント。2番手には◎で応援のレッドスパーダ。関屋記念と同じ展開に私自身は内心ほくそ笑んでいたのです。
前半が35秒5―48秒2。1000ⅿ通過が60秒8で、1200ⅿ通過が1分13秒4と、記録的な超スローペース。ところが、さすがに古馬の重賞です。ラスト3ハロンで俄然ペースアップ。一気に12秒6から11秒1とGI級のステージ。
クラレントに並びかけようとするレッドスパーダ。と、そのときでした。先行馬を射程距離に入れて経済コースを走っていた直後のエイシンフラッシュがグイグイと肉薄。直線外からはジャスタウェイ。ショウナンマイティも上位を窺う態勢だったのですが、追い比べでジャスタウェイに先を越されて伸び脚が今一つ。
ゴール前はクラレント、レッドスパーダの外からエイシンフラッシュがグイと半馬身抜け出し、外から激しく迫ったジャスタウェイを振り切って優勝。ゴール前で4頭並んでの叩き合いは見応え十分。以下、ダークシャドウ、ショウナンマイティ、コディーノの順で入線。
それにしても、1分46秒7の時計は、2年前のダークシャドウと並んで過去10年で一番遅いタイム。ゆえにラスト33秒3の凄い瞬発力の決着でしたが、ラスト32秒8のエイシンフラッシュ、ラスト32秒7のジャスタウェイ。まさにGI級の迫力は圧巻でした。
3週後の天皇賞で再び激突しそうですが、東京の2000ⅿで枠順、馬場コンディションが大きく影響しそうです。