日経新春杯をご覧になりましたか?サトノノブレスが主導権を取ってそのまま首差アドマイヤフライトを振り切って優勝。この1勝は手綱を取ったルメール騎手によるところが大でした。
それというのも、10月以来の実戦で、2番人気サトノノブレスは馬体がプラス20K。成長分を見込んでも明らかに余裕の造り。これは勝てないかも知れない、という考えはスタンドのファンにもあったと思われます。
ところが、騎乗したルメール騎手は誰もが考えていなかった大胆な“逃げる”という形で活路を開いたのです。
「ペースが遅かったので無理には抑えずにリズムよく走らせることに一番に心がけました」とルメール騎手。
まずスタートで内からジワジワ先頭に立ったのがサフランディライト。これを追ってサトノノブレス。他が来るのを待っているようなレース。
実は、ここで鍵になった馬がステラウインドでした。あのオルフェーヴルの援軍として、わざわざフランスに渡り、フォワ賞では逃げまくって5着に頑張った馬なのです。欧州帰りをひと叩きして、今回は強力な同型がまったく見当たらず、楽な一人旅ができるものと、考えていたのですが、正直これにはビックリしました。行かないのです。主導権を取りに出て行こうとしないのです。
何故に幸騎手は行かなかったのか、前半3ハロンが35秒9。高速馬場の京都では明らかに遅い流れ。行こうと思えば行けたでしょう。よしんば主導権を取ったにしても、他に競り込んでくるような馬が見当たらないわけですから、当然ながらここは主導権を主張すべきだったと思います。3番手でサトノノブレスを前に見る形。これで直線ヨーイ・ドンでは明らかに不利。それをわかっていて騎乗したのなら、レースを捨てているようなものです。ステラウインドから馬券を手にした私をはじめファンには、なんとも解せない、納得のいかない不本意な競馬だったことでしょう。
ステラウインドが控えて、あまりの遅いペースに内から楽に先頭に立ったルメール騎手のサトノノブレス。あとはこの馬のペースでした。
1000m通過が60秒2、1600m通過で1分37秒7。そして、ラスト3ハロンを34秒7でゴールへ一目散。この遅い流れに気付いたアドマイヤフライトの福永騎手。いつもより早めに動き出し、4角では好位置に進出。直線で馬体を離すように外から迫ったのですが、馬体が内と外と並んだところがゴールでした。わずか首差だけ出て優勝。その着差から考えて控えていたら、アドマイヤフライトに差し込まれていたかも知れません。さすがに世界のトップクラスの騎手です。それゆえ今回は騎手の力で勝ったような気がします。
2着アドマイヤフライト、3着フーラブライド。3番人気に推された有馬記念4着のラブイズブーシェは8着。馬体が14K増。有馬記念4着で、その後、お疲れ様ということもあって、一息入れさせたことが急仕上げになった印象です。