
それは圧倒的な人気に後押しされた関西の大将格で評判馬
トゥザワールドにとって、難なくクリアーすべき一戦でした。
1カ月半後と迫ってきた「
皐月賞」。それと同じ舞台、同じ距離で行われた
皐月賞トライアル「
弥生賞」。まさに本番に向けて重要な一戦でした。
トゥザグローリーの全弟。その恵まれた馬体からクラシック有力候補と、太鼓判を押されていた
トゥザワールド。この日は圧倒的な1番人気で1.6倍。初めての長距離輸送の急坂中山で、本当に大丈夫なのか、という思いはあったのですが・・。
発表は芝良でしたが、いかにも降雪と厳冬で痛手が大きく、馬場コンディションはボコボコ状態。クラシックへの道はこういった環境でも乗り越えていかなければならないのです。
弥生賞は強力な逃げ馬がアグネスドリームだけ。おそらく2番手にサトノロブロイだろう、
トゥザワールドは中団の少し前くらいの位置。これをキキングズオブザサンとワンアンドオンリーがピッタリとマークして、私が期待しているアデイ
インザライフはその直後かな、と考えていました。
この見方はほとんど当たっていたと思います。

難なく主導権を取ったアグネスドリーム、2番手に控えたサトノロブロイ。エイシンエルヴィンが好位置をガッチリとキープして、その直後に好スタートを決めたアデイ
インザライフ。イタリアンネオが外にいて、その真後ろに
トゥザワールド。アズマシャトル、ブラックヘブンと続き、その後ろにはワンアンドオンリー。そこからスタートでダッシュがつかなかったキングズオブザサン。エアアンセムと続く展開でした。
前半3ハロンが35秒6で、過去6年を上回るペース。ところが、4ハロンで48秒4、5ハロン通過が61秒2と急激にダウン。この中間地点を境に後続の気配を感じたアグネスドリームの
内田博騎手は、11秒台にペースを上げて行くのでした。

そして勝負どころの3コーナー。先を行く馬たちの位置取りは前半と変わりありませんでしたが、中団の
トゥザワールドがアデイ
インザライフの外に並びかけます。それを見てワンアンドオンリーが出撃態勢。エアアンセムとキングズオブザサンはまだ後方。

そして4コーナーでイタリアンネオの外に出した
トゥザワールドの勢いが素晴らしく、先行馬の外から猛然とスパート。
川田騎手の右ステッキが大きく宙で唸ります。その内でやや置いて行かれたアデイ
インザライフの
戸崎騎手は前にいる先行馬を捉えるのに四苦八苦。直線で一気に突き抜けた
トゥザワールド。後続との差をグングン広げにかかります。

ところが、ゴールが寸前に見えてきたときに、4角で乗り遅れたワンアンドオンリーが外から猛然と追い込んできました。みるみるうちに差が詰まって来て、粘る
トゥザワールド、外のワンアンドオンリーがピッタリと馬体を並べたところがゴール板。勢いは完全にワンアンドオンリー。一瞬、記者席の私の目からは内の
トゥザワールドが残ったようにも見えました。やはり判定は
トゥザワールドのハナ差勝ち。
また、注目の3頭目の
皐月賞のチケットは、内のアデイ
インザライフのしぶとさが外のエアアンセムの末脚を封じてゲットしました。
これで4連勝となった
トゥザワールド。一躍、
皐月賞の舞台で大将格を務めることになりそうですが、勝ち時計的にはやや物足りなさが残ったことも事実。
というのも、2分1秒4は昨年の
カミノタサハラの2分1秒0よりも遅く、レースの上り3ハロンの36秒4も、昨年が35秒2だったことから判断してあまりにも平凡。
ちなみに、同じ日の中山7レース古馬500万で、優勝した
マイネルミラノが2分1秒1。レースの上りタイムが35秒5。明らかに
弥生賞組は時計面で劣勢だったのです。イスラボニータの
共同通信杯組、そしてトーセン
スターダムの
きさらぎ賞組が、私の目からは大きく見えて来ました。
