天皇賞の前哨戦ともいうべき「大阪杯」。今年はキズナ対エピファネイア!GI馬2頭のマッチレースという様相でした。
ところが、きちんと走ったのがキズナとトウカイパラダイスの2頭だけ。内容的にはなんら見るべきものが、ほとんどありませんでした。
菊花賞以来のエピファネイア、同じく凱旋門賞以来のキズナ。絶好調時の状態には欠けるかも知れない、ほとんどのファンの方が考えたとしても、ごく自然なことです。そういった状況のなかでも、1番人気が1.9倍でエピファネイア。対するキズナが2.4倍で2番人気。同じ長期休養明けの牝馬2冠のメイショウマンボが6.4倍。一昨年の大阪杯優勝、昨年はオルフェーヴルの2着と、大阪杯に強いショウナンマイティが4番人気で13.2倍。
8頭という頭数からみても、波乱と言うことは考えづらい一戦でした。ところが、終わってみれば、馬連が7020円。3連単が2万50円。これは意外でした。
レースは外からじんわりとカレンミロティックが逃げる形。好スタートを切ったトウカイパラダイスが2番手に控えて、ビートブラックが直後で追走態勢。この3頭がレースを引っ張る形で、36秒6-48秒6、1000m通過が60秒5。この流れで4番手以下が大きく離れてしまいます。遅い流れを意識してか追い込みのショウナンマイティが4番手を追走。メイショウマンボ、フラガラッハ、エピファネイアがいて、最後方にはキズナが末脚を温存。
ゆったりとした流れの中で3頭が後続を離す形でしたが、1000m通過して11秒台にギアチェンジ。離れた4番手にショウナンマイティ、メイショウマンボ。そしてエピファネイアは直後のキズナを牽制。それでもエピファネイアの福永騎手は、先行する3頭との差を考えて、仕掛け気味にジワジワと外からメイショウマンボに並びかけます。
キズナの武豊騎手が動いたのが4角最後方から。外に出して仕掛けると他馬との勢いの差は歴然。サーッ、サーッと前を追います。直線でカレンミロティックを捉えて先頭に立ったトウカイパラダイス。急追するキズナとの差がみるみるうちに詰まって、並んだと思った瞬間、次の場面では一気に抜け出して突き放し余裕でゴール。まさに役者の違いを見せつける圧巻の内容。
2着には粘りに粘ったトウカイパラダイスが、エピファネイアの追撃を振り切って2着。1番人気のエピファネイアは無念の3着。ショウナンマイティが5着で、メイショウマンボにいたっては、優勝したキズナから大差水をあけられる7着。
勝ち時計が2分00秒3。昨年のオルフェーヴルが1分59秒0、3年前のヒルノダムールが1分57秒8。馬場コンディション、展開などで時計のバラつきが出ることは当然ですが、この平凡な時計でレースの上りタイムが36秒3。昨年の33秒7と比較してもあまりにも水準以下のタイム。
前半の5ハロンが1分0秒5のスロー。それでいて、直線はラスト12秒4-12秒4と、1000万の条件クラスよりも劣るタイム。
そういった中で、唯一、際立ったラスト33秒9で圧倒したキズナ。これは普段通りのキズナの姿。ゆえに人気馬ではキズナ1頭だけがきちんと走ったことに他ならないのです。
2着のトウカイパラダイスも自分の力だけは出し切りました。残念なのがエピファネイア。キズナに並ぶところなく置き去りにされてしまったところに、エピファネイアの不完全な姿があったと思います。メイショウマンボにいたっては、レースに出せるような状態ではなかったような気がします。大きな額を投入してくれたファンに対して失礼だと思いました。