「ハープスター断然!」「ハープスター2冠確定」という見出しが躍る中で、行われた「優駿牝馬・オークス」。秋には渡仏して凱旋門賞というプランが、なんとも競馬ファンの心をくすぐります。
あのブエナビスタ(単勝140円)の単勝支持率を上回る60%超えで、クリフジ、トキツカゼ、ミツマサに続くオークス史上第4位(1.3倍)ベスト3はすべて優勝。これに続くかハープスター。
某テレビ局の実況アナウンサーはゴール手前からハープスターの連呼。それだけ彼女に対して絶対観が浸透していたようでした。
とはいっても、阪神ジュベナイルFでハナ・クビ差の大接戦。桜花賞でも勝ったとはいえクビ差。過去のGIでは写真判定の大接戦だったのです。いつも他を圧するような強烈な追い込みで強襲をかけるハープスター。前半はドキドキで、直線は確実に追い込んで来るその姿に、ハッピーエンドのドラマ性と、そして厚い信頼感。多くの競馬ファンは目の前の夢を乗せていたのかも知れません。
とはいっても、初めての東京、そして2400m。スタンド前の発走。残された大きな関門があったのです。
そして、大歓声の中でゲートが開きました。内から内田博騎手のペイシャフェリスが飛び出して、これを追うように大外のエリザベートと、マイネグレヴィルが急追。そしてマジックタイムが続き、この直後のインにバウンスシャッセ。外にブランネージュ。ヌーヴォレコルトがバウンスシャッセの直後を追走。並んでマーブルカテドラル。中団の外にはフォーエバーモア。後方にはディルガ、ベッラレジーナとニシノアカツキ。そしてハープスター。最後方をポツンとクリスマス。
前半3ハロンが35秒2、半マイルが48秒0。昨年のクロフネサプライズが逃げた時が35秒7-47秒7。同じようなペースで前半は進んで行きます。
そして、2角をまわり向こう正面にさしかかったあたりが5ハロン通過標。ここで60秒7。昨年の59秒6よりも1秒もダウン。3年前のピュアブリーゼが逃げた時の60秒7と、まったく同じタイム。12秒7-12秒8と一向にペースが上がらないまま3角を向かえました。で、1400m通過が1分26秒2。昨年の1分23秒8と比較してもガクンとスローにダウン。
順位はほとんど変わりありませんが、外を通って5番人気のフォーエバーモアがじんわりと中団の前の位置に進出。馬群がギューと凝縮してきて後続馬も接近。ハープスターも後方で手応えはバッチリ。
そして4コーナーでも先行3頭が引っ張ります。その後にマジックタイムとマーブルカテドラル。そしてそれに続くプランネージュとフォーエバーモア。その直後に内からバウンスシャッセ、その外に並ぶヌーヴォレコルト。サンレグアルも並んできました。後方にニシノアカツキと真後ろにハープスターが追撃態勢。 直線は先行勢がしぶとく抵抗する中で、中央からマーブルカテドラル、その内にプランネージュ。それに続くフォーエバーモア。その直後にヌーヴォレコルトと内にバウンスシャッセ。最内からシャイニーガールがフラつきながら外にモタれ気味に寄って来ます。このあおりをモロに受けたのがバウンスシャッセ。プランネージュが前にいて、内外からサンドイッチ状態で北村騎手が手綱を引く場面。このとき他の馬と接触。そして今度は仕方なく内に進路を求めます。
一方、直線入り口では最後方近くにいたハープスター。川田騎手がゴーサイン。外から伸びかけたときに前にいたニシノアカツキが、もう一つ外側に進路を取ったために、そのアオリを直接受けたハープスターが、ややブレーキをかけて、それから2、3頭分外に出して懸命に追い出しをかけます。うなるような末脚で前を追います。このときでした。左前脚の蹄鉄がパクパクとはずれかけているのです。
ゴール前で馬場中央から抜け出したヌーヴォレコルト。内に進路を取ったバウンスシャッセ。外から迫って来るニシノアカツキと大外のハープスター。
左ステッキを振り下ろしてゴールを目指すヌーヴォレコルト。大外のハープスターの脚が目立ちます。内にはバウンスシャッセ。ハープスターが激しくヌーヴォレコルトに追い詰めたところがゴールでした。その差はクビ。またクビ差で3着がバウンスシャッセ。
優勝したヌーヴォレコルトの勝ちタイムが2分25秒8。昨年のメイショウマンボが2分25秒2、一昨年のジェンティルドンナが2分23秒6。やや物足りなさが残りました。
また、直線での大きな不利がなければ、着差からおそらく私の◎バウンスシャッセが優勝したと考えています。
また、ハープスターも蹄鉄が外れるアクシデントがなければ2冠馬に輝いていた可能性があります。
運があったヌーヴォレコルト。不運だったバウンスシャッセ、そしてハープスター。この明暗が左右したオークスでもありました。
写真のハープスターの左前脚の蹄鉄がはずれかけていることが確認できます。