我こそはマイルの王者なり!と言わんばかりに、新旧GI馬がずらりと揃った豪華版、注目の「安田記念」が東京競馬場で行われました。
生憎、木曜日からの大雨で当日は大変な不良馬場。ダートには水が浮き、芝はレース中に大きな土の塊が飛び交う大変なコンディション。明らかに道悪下手では手を出せない状況下に変貌していたのです。
1番人気は、この不良馬場にもかかわらず、我らが誇る世界のマイラー、ジャスタウェイ。今回は主戦の福永騎手から柴田善騎手にバトン。昨秋の毎日王冠(エイシンフラッシュの2着)以来のコンビ。当時は中団からラスト32秒7という切れ味で強襲。その切れ味は柴田善も確信しているはずでした。
そして、天皇賞の4馬身差の独走。中山記念のインから突き抜けた圧勝劇。さらにドバイ・デューティーフリーでは世界史に残るような独壇場の強さ。世界のレイティングが第1位。毎日王冠以来の騎乗とはいえ、その強さは柴田善騎手も自信をもっていたと思われます。
私は、この強靭な末脚を打ち破るのには、それに匹敵する破壊力を持つ馬、ショウナンマイティしかいない、と考えたのでした。
ところが、木曜日から降り続いた雨。それも記録的な豪雨が関東地方を来襲。ショウナンマイティは下手ではないものの切れ味を生かすのには良馬場がベスト。そこで、私はショウナンマイティを◎→▲に下げて、▲印のグランデッツアを◎に抜擢。前走の都大路Sを余裕でJRAレコード勝ち。3歳時、重馬場のスプリングSで、後のダービー馬ディープブリランテを完封。そして直前の坂路で迫力十分のパワフル走。打倒、ジャスタウェイを目指したのでした。
日曜日は不良馬場。この馬場の悪化でいくらジャスタウェイでも、3倍台くらいに人気が上がるかも知れない、と考えていたら、なんとこれが2倍を切り1.7倍。断トツの人気に支持されていたのです。2番人気がNHKマイルCを制した連勝中のミッキーアイル。
そして見事に復活したワールドエースが3番人気。そこから少し離れて13.8倍のグランデッツアが続いていました。
そして、スタートを切りました。ミッキーアイルがスタートで1完歩出負け。それでも浜中騎手が手綱をシゴいて先頭に出て行きます。リアルインパクト、カレンブラックヒル、ダノンシャーク、ラチ沿いにレッドスパーダが2番手を争う形。外からはクラレントが進出。グロリアスデイズと外から馬場を考慮した早めのトーセンラー。ラチ沿いを走るグランデッツア。この直後にワールドエース。背後にはグランプリボス。後方にはジャスタウェイ、ホエールキャプチャ。そしてショウナンマイティと出遅れたフィエロ。
3コーナーの前半3ハロンが35秒1、この不良馬場では緩みないペースです。これを追ってリアルインパクト、ダノンシャーク。クラレントが好位置をキープ。カレンブラックヒルは大事に乗っているのか5番手。中団のインにグランデッツア、その外にジャスタウェイ。またその外にはグランプリボスでさらに外側をワールドエース。この辺は一団の塊で、その後続にはインを走るショウナンマイティ。ホエールキャプチャとエキストラエンドが最後方。
4コーナーで5ハロン通過が59秒1、先頭は懸命に逃げるミッキーアイル。その外にリアルインパクト、ダノンシャーク、クラレントが2番手を横一列。その後ろにグロリアスデイズとトーセンラー。好位のカレンブラックヒルとレッドスパーダは脚色が今一つ。
その直後にグランプリボスとワールドインパクト。そして背後にグランデッツアと外にジャスタウェイ。ショウナンマイティは後方3番手。
そしてラスト400mのハロン棒。まだミッキーアイルで、並びかけようと内から進出したグランデッツア。馬場外に出したダノンシャーク、クラレント。大外がワールドエース。
そしてグロリアスデイズとダノンシャークの間に割って入り抜け出すグランプリボス。内から押し上げてきたジャスタウェイ。先頭に立ったグランプリボス、それを内から追うジャスタウェイ。3番手には内から追いこんできたショウナンマイティ。直線の叩き合いは道悪で苦しがるようにグランプリボスが外に。そこをジャスタウェイが馬体を併せるように外に馬体を寄せて行きます。グランプリボスを右手綱で矯正し、懸命に追いながら三浦騎手は体が半分以上内にずれています。そのとき内から馬体を寄せてきたジャスタウェイと接触するようなシーン。それでも世界のジャスタウェイは勝負強さも世界一でした。この激しい叩き合いにも動じず、ハナ差だけ差し込んでいました。そこから3馬身遅れてショウナンマイティ。
「直線で追い出してから何度か馬場に脚をとられて、ノメってバランスを崩すようなところがあったのに、それを諦めず差を詰めて差し切ってくれた。この辺りはさすが世界1位の馬だし、本当に偉いよね」と、不良馬場で苦しみながら諦めず走ってくれたジャスタウェイを絶賛。
時計が1分36秒8、レースの上り3ハロンが37秒7。なんと考えられた時計の5秒も遅いタイム。やはり、安田記念は良馬場でトップクラスのスピードと切れ味を堪能したかったですね。