記念すべき50回目を迎えた夏の福島ならではの「七夕賞」。ハンデ戦で混戦模様の中で1番人気に推されたのがマイネルラクリマ。昨年の七夕賞の勝ち馬でもあり、福島民報杯優勝。昨秋の福島記念2着と、まさに福島巧者ぶりを発揮中。前走のエプソムCで頭差2着と好走。夏に向けて体調を上げていたところでした。
夏に向かって上げ潮といえば、メイショウナルトもその内の1頭。昨夏の小倉記念をレコード勝ち。ラブリーデイ以下を圧倒した夏の使者でもありました。そのラブリーデイが今回の七夕賞で2番人気。
戦前、逃げて持ち味を出してきたグランデスバル、これまた逃げて2連勝を飾ったマデイラ。これにダイワファルコン、ミキノバンジョー。そしてマイネルラクリマも58Kを背負って、正攻法に出てくるに違いない。ラブリーデイ、ニューダイナスティも早めに仕掛けて出る公算が大。これは緩みない展開だろう、私の見方はそうでした。
ところが、ゲートが開いてビックリしました。内から好スタートを切ったメイショウナルトがまず飛び出し、ミキノバンジョー、ダイワファルコン、マイネルラクリマが前に出てきましたが、別に主導権を取って行こうという気はなく折り合いに専念。
すると大外枠から深いブリンカーのアドマイヤブルーが上位に接近。グランデスバルはこのあとで控える形。同様にスタートでもたついたマデイラは、まったく前に出て行く気配がなく、その外からラブリーデイが前を追います。
後方にはヴィクトリースター、最後方のダコールはいつもの指定席。2コーナーを先頭でまわったメイショウナルトは、ペースをダウンする気配が感じられず“来るなら来てみろ”と言わんばかりの一人旅。
前半34秒8-46秒8。1000m通過が58秒9と、ハイペースではないものの緩みのない流れ。向こう正面では2番手で追走するミキノバンジョー、アドマイヤブルーと少し水が開きました。マイネルラクリマが4番手。直後にダイワファルコンとラブリーデイ。これらのグループから4馬身くらい開いて、コスモバルバラとグランデスバル。そのインにニューダイナスティ。その直後にインからダコールが取りついてきました。
4コーナーにかけて後続を離し気味に逃げるメイショウナルト。2番手はミキノバンジョー。ダイワファルコンの外からマイネルラクリマ。コスモバルバラが外へ。アドマイヤブルーはここで息切れ。ポッカリと開いたインからニューダイナスティがグングン接近。それを前に見てダコールが内から追います。
直線で一気に突き放しに出たメイショウナルト。2番手で頑張るミキノバンジョーの内からニューダイナスティ。外からマイネルラクリマ。ダイワファルコンはここでギブアップ。インから外に出したダコールが接近。大勢は決しました。
快調に逃げまくったメイショウナルトがセーフティーリードで、そのまま押し切り小倉記念以来の重賞2勝目。内から迫ったニューダイナスティが、一旦、2番手に上がったマイネルラクリマを捉えて2着。ダコールが外からマイネルラクリマに襲いかかったものの迫力不足で捉えきれず4着。
田辺騎手は「今日はノビノビと走らせたかったので、ハナを切れたことが良かったですね。この馬のペースで行けました。スローに落とすことは考えていませんでした。気分よく走らせることを一番に考えていましたから。小倉でも凄い時計で勝ったように能力の高い馬なので、良さを出せて良かったです。これからも頑張って欲しいです」と、メイショウナルトにコメント。
やはり、逃げて勝つような馬は、騎乗するジョッキーの気合の入れ方が、他の騎手とちょっと違うような気もしました。