ゴール前の横並びの一戦から間をこじ開けるように差し切ったマーティンボロ。1番人気でした。この勝利はある種、記念すべき勝利でもあったのです。
過去、9年間で1番人気が1、2着ゼロ。3着もない、魅入られた状態。ジンクスを嫌う関係者にとっては、1番人気だけはなりたくない、と考えるのも当然のことでした。
そういった中で、注目の1番人気がマーティンボロ。4.6倍でした。騎手はローウィラーJ。後方から直線勝負タイプでどう騎乗して来るのか、危うさも感じられたのです。
スタートを切って迷わず3番枠のメイショウナルトが先頭。アドマイヤタイシが2番手で、その外からクランモンタナが続きます。ただ、この3頭が傷んだ馬場を意識して、インサイド寄りを開けつつ展開するので、好スタートを切ったダコール、マディラが前に進出してきました。
エックスマークに2番人気のステラウインドが好位置。そのあとのインにアロマカフェがいて、マーティンボロとトーセンジャガーが中団。そこにはニューダイナスティ、アスカクリチャンもいます。カルドブレッサに出遅れたラストインパクトとユールシンキングは後方待機。
前半の3ハロンが35秒9で、半マイルが47秒3、そして1000m通過が59秒0。やや遅めの平均ペース。
3コーナーで2馬身くらいの間隔を取って逃げるメイショウナルト。2番手にダコール、マディラが続きます。ステラウインド、その外にアドマイヤタイシ、外目を走るクランモンタナ。中団にマーティンボロで、ラストインパクト、ユールシンキングは後方。
4コーナーから直線に入り馬場のやや中央に出したメイショウナルト、外からアドマイヤタイシ、クランモンタナが進出態勢。ラストインパクトも外からジリジリと肉薄。その後ろの外側にマーティンボロ。馬場の中央を通ってニューダイナスティ。
直線中程でした。外にいたマーティンボロが斜めから内に切れ込むような形で、まずアドマイヤタイシの前をカット。驚いて手綱を引き立ち上がるアドマイヤタイシの岩田騎手。そのあとダコールの進路もカット。そしてニューダイナスティの前を横切り、進路を求めて、逃げるメイショウナルトと内のアロマカフェの間の隙間を見つけて、そこにぎりぎり割り込んで来ようとしています。
そして、間から割って出て来ようとすると、今度は外側に寄れて、捉えたメイショウナルトの進路の前に出て来ます。このときニューダイナスティの吉田豊騎手は、ここでも手綱を引きます。
先頭のマーティンボロを目がけて外からクランモンタナとトーセンジャガー、その外からラストインパクトが激しく詰め寄りましたが、からくもマーティンボロがクビ差押し切って優勝。
2着はクランモンタナが入り、追い上げ空しくハナ差で3着がラストインパクト。4着にトーセンジャガーが大健闘。
2番人気のステラウインドは疲労が出たのか直線で失速し最後方の18着。4番人気のユールシンキングも後方から差を詰めただけ。散々の11着でした。
私は◎アドマイヤタイシ〇ラストインパクト▲クランモンタナ。◎のアドマイヤタイシは、前記したように直線でマーティンボロに、急激に横から前に入られて、内からも寄られ絞り込まれる形で、岩田騎手が急ブレーキ。立ち上がるとあとは追わずに流していました。
確かにマーティンボロは強かったのですが、あまりにも後味の悪いレース。ローウィラー騎手に悪気はないのでしょうが、賞金の半分くらいは返納しろ!と言いたいくらいでした。
いずれにしても、勝ち馬から7着のニューダイナスティまで0秒2差。さすがハンデ戦。今年はたまたま1番人気が優勝しましたが、この僅差からも来年の新潟記念も波乱含みには変わりありません。