季節は流れるように過ぎて行きます。気が付けば立秋を過ぎて、もうお盆です。記録的な日照不足、冷たい夏、集中豪雨、台風に地震。多発する大災害。亡くなった父の夢に添うべく今年、看護学校に晴れて入学した16歳の女子生徒。母と弟と避難場所に移動中に3人とも濁流に流されて限りなく未来ある命を落とされました。ただただ涙を誘います。合掌!自然が相手だとはいえ、今年は何か心が寒い夏のような気がします。
それでも、鳴いたのです。あの独特の「カラカラカラ」という、ひぐらし独特の鳴き声。8月10日の夕刻を少し過ぎた頃でした。なんという心地よい響きでしょう。あの松尾芭蕉の「岩に染み入る蝉の声」ではありませんが、胸に染み入るひぐらしや、とでも詠んでみたくなりました。
最近では、日本の季節をもう一度見直そう、というスローライフに似た動きがあります。都会ではコンクリートのビルが立ち並び、夏はヒートジャングル化。高速道路がじゃんじゃん出来て、新幹線がどこまでも延びていき、どんどん廃止されるローカル線。郊外では異常に多い空き地。便利になったとはいえ、人と人とのぬくもりが感じられません。
日本の良き季節感を感じ取れる文化を、再び取り戻そうという動き。あの昭和という時代に見かけられた「きんぎょ~え、きんぎょ!」の掛け声よろしく金魚売りのおじさん。「アイスキャンデー売りの「チャリンチャリン」の鐘の音。「プーパープー」と吹きながら、軒先から軒先にいく、愛想のいい豆腐売りのおじさん。更には、紙芝居を自転車に乗せて、色々な声色を持つ紙芝居のおじいさん。
最近ではマンション住まいの近隣からうるさいと苦情が出ると言われる風鈴。その風鈴屋さんの「リンリン、チャリンチャリン」という涼しげな音色に、ひと時の涼を感じ取れたものです。
開発で消え行く古来の良き日本の文化があるとしたら、それは余りにも淋しすぎます。利便性が人の心を豊にしてくれるのでしょうか。少し回り道しても人と人とのぬくもりと豊かさを感じ取れる喜び、そういう幸せ感のほうがずーといいはずです。
お盆です。先祖の霊が戻ってくるから、家族で温かく迎えましょう、というのも日本の古来の先祖を敬う文化です。通りや軒先には、割り箸を差した茄子や胡瓜を置いて、先祖が行き来しやすくする風習が日本の各地で見られましたが、その風習も都市近郊からは消えようとしています。
お盆で帰省されている方、あるいはお盆休みを利用してローカル競馬に行かれている方、各地方に伝わる土地土地の夏ならではの風習を、改めて体感するのも日本の良き夏を満喫できるひとつです。
初鳴きの ひぐらし聞いて お盆なり
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