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また今年もレベルダウンしたクイーンSの重賞意義


 今年のクイーンSの優勝馬はピエナビーナスでした。中団のインサイドで折り合い、直線で前が開くと、そこを一気に伸びてきました。優勝騎手の古川Jも言うように、3番枠で内の中団でじっと我慢。前が開いたら一気に仕掛けて出るという、彼ならでは作戦がズバリ的中。見事な勝利でした。
  それにしても、11番人気で優勝したピエナビーナス。凡走につぐ凡走。連対したのが昨年の札幌、1,000万の羊が丘特別(芝1,200m)以来、実に1年ぶりの出来事。しかも、それが初めての重賞勝ち。15着だった阪神牝馬Sに続く2度目の重賞挑戦。準オープンからの格上挑戦でもあったわけで、3ヶ月の休養明けだったことを考えると、この優勝はまさしく事件。常識的には前走の準OPパールSが6着だったことからも、いきなり重賞というより、次走を見据えて、馬体をゆったりと作ってくることが多いように思いますが、南井調教師は前走比マイナス2K。きちっと仕上げて出してきました。本当に見事です。
  とはいえ、4歳馬が圧倒的に優勢だったこのクイーンS。今年は4着に秋華賞2着のムードインディゴ。桜花賞優勝、オークス3着のレジネッタが10着。2番人気に推されたスペルバインドが8着。GⅡ1着、GⅢ2着のレッドアゲートが11着。4歳馬は壊滅状態。1着ピエナビーナス、2着ザレマ、3着アメジストリング、5着マイネカンナと上位を、ほぼ独占した形になった5歳牝馬群団。あのダイワスカーレットやウオッカと同じ世代。4歳牝馬は桜花賞2着がエフティマイア、3着がソーマジック。オークスがトールポピー(阪神JF優勝)にエフティマイア。3着が前記レジネッタ。桜花賞5着だったリトルアマポーラがエリザベス女王杯でカワカミプリンセスを破った起死回生の快走が目立つ程度で、4歳馬は5歳勢に完全に押され気味。
  今回のクイーンSは4歳馬の成長度をはかる上で、重要なひとつのカギになる一戦でした。それがこの惨敗劇で4歳牝馬は頭打ち、壁に当たった印象があります。そんな状況下であったゆえのピエナビーナスの優勝があったと思います。
  優勝タイムが1分48秒2で、レースの上がりタイムが35秒9。2週前の1,000万大倉山特別で優勝したミクロコスモスの1分47秒4よりも遥かに落ちるタイム。
  4年前優勝したレクレドール、翌年のデアリングハート、次の年のアサヒライジング(やや重)の4歳馬は、すべて1分46秒7で1着。昨年のヤマニンメルベイユがスローペースに持ち込み1分48秒1で優勝。当時は強力な4歳馬が不在でしたが、そのときよりも落ちるタイム。間違いなくクイーンSはレベルダウンしています。重賞の異議が出てきてもおかしくはありません。