今年春のクラシックで主役。そしてダービーを制したロジユニヴァース。彼を排出した注目の「札幌2歳S」。今年は人気の一角サンディエゴシチーがモズ以下に圧勝。好位置のインコースで脚を温存して、4コーナーで前が開くと、すかさず接近して、力強く抜け出しました。前半5ハロンが61秒7のスロー。この緩ペースにもきちっと折り合うセンスの良さ。これで新馬、クローバー賞に続く3戦3勝。他の馬よりも完成度の高さで上回っていたような気がしますが、480K台の馬格。話題のマンハッタンカフェ産駒。思いは来春に夢馳せるところです。
ちなみに、勝ちタイムの1分49秒7は、昨年のロジユニヴァース(1分49秒1)よりも見劣りしますが、3年前の優勝馬ナムラマースと同タイム。ラスト35秒1もナムラとまったく同じ。期待度が集まります。
2着のモズは展開に恵まれたものですが、デビュー戦が0秒1差の接戦で優勝。こういうタイプは相手なりに走り、しぶとくバテないタイプ。今後も目を離せません。
3着がアーバンウイナー。新潟のデビュー戦で中団から直線一気の差し切り勝ち。時計は平凡でしたが、ラストが33秒6という破壊力を披露。今回も前残りの流れの中で、後方から良く伸びてきました。また、人気の中心だったダノンパッション。注目のアグネスタキオン産駒で、デビュー前からクラシック候補として衆目の的。今回は最後方に陣取り3角過ぎにスパート開始。4角では5番手と先行馬を射程圏。ただ、6月の阪神以来、2ヵ月半ぶりの実戦。加えて、札幌の洋芝が始めての経験。武豊騎手は「こんなものではないです」とコメント。阪神、京都に戻ったときに改めて評価した1頭です。
このレースで10着に敗れたユメノキラメキ。初めての芝でしたが、岩田騎手に騎乗依頼。ゲートの中でチャカチャカして出負け。レース中は馬込みのインでカーとなり、引っ掛かる仕種。楽に主導権を取って圧勝したダートのデビュー戦とは勝手が違いました。能力はかなり高い馬で、追いかけたい馬です。
さて、昨年GI馬(朝日杯FS)を制したセイウンワンダーが、飛躍の出世レースとなった「新潟2歳S」。圧倒的な支持を集めたシンメイフジが最後方から直線大外に出し、矢のように伸びて見事な差し切り勝ち。不利があったダリア賞で2着に敗れた悔しさを岩田騎手で晴らした形になりました。半マイルが47秒8、5ハロン60秒6。スローの流れで32秒9のパンチ力。その破壊力の違いを見せつけた格好です。夏の新潟を2回使ったことによるケアが今後は重要ですが、卓越した勝負強さ、瞬発力でクラシック戦線に乗り出していきそうです。
2着のフローライゼもたいしたものです。キャリア1戦でシンメイフジと0秒1差。一旦ゴール前では先頭。実に惜しいレースでした。持ちタイムを2秒7も短縮。均整の取れた馬格。「距離が延びてもっといい馬です」と後藤騎手。クラシックの香りがしてきます。
ところで、このレースで13着に敗れたコスモセンサー。スタートが悪く、これはいけないと思ったのか、石橋脩騎手が追い上げて先頭を窺う勢い。なんとかなだめて2番手に付けたものの走りがぎこちないのです。主導権を取り、直線、再加速して後続を圧倒した新潟のデビュー戦のレースは見られませんでした。
しかも、ゴール前では外から追い上げてきた馬が内によれて、コスモセンサーの進路を邪魔するようなシーン。そこで、またバランスを崩し、フォームがバラバラ。能力を出し切れていませんでした。この馬もしばらく追いかけておきたい馬です。