秋華賞は長年培った私の目を確認する上で、本当に大事な一戦となりました。それは1週前の栗東の坂路で、衝撃的な動きをした1頭の馬がいました。それがショウナンパンドラだったのです。
10月9日、木曜日の坂路。凄い勢いでチップを蹴り上げ、迫力十分に坂を駆け上がってきたのです。52秒9、ラスト1ハロンを11秒8。それは獲物を狙う豹のように走り抜けて行きました。その1週後の直前の追い切りでも好タイムを坂路で叩き出して、まさに絶好調をアピール。
秋華賞のトライアルである紫苑Sでは、新潟に遠征しゴール前で先頭という、追い込み一手の春とは一変した内容。結果レーヴデトワールにクビ差、差し込まれたとはいえ明らかに充実ぶりが感じられたものでした。馬体もひと回り大きく成長。そして、16日の坂路では流し気味に、ラスト12秒4を計時。いかにも気持ち良さそうに坂路を走り抜けて行きました。 浜中騎手とは再コンビ。連勝していた岩田騎手は1番人気の主役ヌーヴォレコルト。おそらく岩田騎手は、ショウナンパンドラが強敵であることは、誰よりもわかっていたはずです。それゆえ、ショウナンパンドラをマークするような乗り方だったのでしょう。
いずれにしても、衝撃的な迫力走を素直に感じ取った私は迷わず秋華賞は◎に指名。枠順も6番枠で申し分なし。著しい成長力に最高のデキ。高鳴る胸を抑えきれないくらいでした。
ところが、18倍くらいあった前日の単勝オッズが、当日はバリバリ売れ出して10倍台の3番人気にまで押し上げられたのです。対して1番人気のヌーヴォレコルトは1.5倍と断トツ。
そういった中で、19回「秋華賞」はスタートを切りました。飛び出したのはペイシャフェリス。外からリラヴァティとハピネスダンサーが出て行きます。この直後にバウンスシャッセ。その隣にレーヴデトワール。マイネルグレイヴィルの柴田大騎手が手綱をしごいています。真後ろにはプランネージュ。ポンと出たショウナンパンドラは前と大きく水があいて、中団の先頭に立つ形。それに直後でタガノエトワール、その真後ろにピタリとヌーヴォレコルトが窺います。後方にはレッドリヴェールとサングレアル。最後方はセウアズール、オメガハートロック。
前半3ハロンが34秒5、半マイルが46秒3。そして、真ん中の5ハロンが58秒0と、先行馬には厳しい流れです。
大きく後続を離して逃げるペイシャフェリス。リラヴァティが2番手で、バウンスシャッセが続きます。一旦、11秒台から12秒台に落ちたもののラスト4ハロン、残り800mで再び11秒台の流れ。
4角ではペイシャフェリスを先頭にリラヴァティ。バウンスシャッセの内から早くもショウナンパンドラが抜群の手応えで進出。外からタガノエトワールの小牧太騎手が追い出して迫って来ます。その後ろにヌーヴォレコルト。
懸命に逃げ粘ったペイシャフェリスは脱落。最内からここが勝負どころとばかりにショウナンパンドラ。リラヴァティ、バウンスシャッセを間に挟んで外のタガノエトワールがグイと伸びて来ました。
それでも、浜中騎手が本気で追い出すとショウナンパンドラの末脚が断然。タガノエトワールが2番手。その外からヌーヴォレコルトが待ちかねたようにグングン迫って来ました。それでも懸命にゴールを目指すショウナンパンドラ。タガノエトワールを外から捉えたヌーヴォレコルトが、最後の脚を駆使して猛追。ショウナンパンドラにクビ差迫ったところがゴールでした。
ゴール後、思わずガッツポーズの浜中騎手。ポンポンとショウナンパンドラの首のあたりを軽く叩いて健闘をねぎらう浜中・ショウナンパンドラ。
1分57秒0は過去10年で最速のタイム。ヌーヴォレコルトもクビ差ですからさすがです。今年の3歳牝馬は凱旋門賞に遠征したハープスターを筆頭に、相当高いレベルのような気がします。
単勝1010円。馬単2050円。3連単1万2790円。ありがたい秋華賞でした。