
例年、波乱含みのハンデ戦「
アルゼンチン共和国杯」。今年も1番人気が大凡走となる結末を迎えました。
この日、1番人気に推されたのが
日経賞2着、
春の天皇賞3着の
ホッコーブレーヴ。
宝塚記念でも5番人気に推された馬です。
ところが、過去10年で
宝塚記念の6月から、ぶっつけで
アルゼンチン共和国杯に臨んできた馬で優勝した馬はゼロ。2着が7年前の
トウカイトリック1頭だけ。優勝馬、上位馬のほとんどが9月、10月に出走していた馬が圧倒的に多数なのです。1番人気の
宝塚記念以来の
ホッコーブレーヴは、本当に大丈夫なのか、私にとっては戦前から不安が先行していたのです。
さらにこのレースは強力な典型的な逃げ馬が不在。となると、私はある1頭の馬に引きつけられたのでした。
それが
ネオブラックダイヤ。前走の新潟、準オープンの
レインボーSで圧勝。それまでとは一転し、主導権を取るとマイペースの一人旅。外回りの2000mでしたが、なんと直線で再び加速。ラスト33秒6という最速の末脚で独走。加えて、当時は5月の京都、
烏丸S以来、4か月ぶりの実戦で、馬体がプラス24K。この状態で圧倒的な
パフォーマンス。今回は54Kという魅力のハンデ。そしてリーディング1位の
戸崎圭太騎手。
ポンと主導権を取ると、まず競り込んで来る馬はいないはず。
デスペラードに騎乗する
横山典騎手も、前走の
レインボーSで騎乗して、
ネオブラックダイヤの強さを手応えで感じとっていることから、無理に競り込んで来るようなことはしないはず。となると、ペースは必然的にスローになると見ていたのです。
これは
ネオブラックダイヤで押し切れる!逃げ切れるとの推察から自信の◎という気持ちでいたのでした。
ところが、競馬と言うものは実にやっかいなもので、ほぼ自信をもってレースを読んでいるにもかかわらず、アッサリと裏切られることがあるのです。人はこれを不運ともいいます。
スタートでした。内で1頭赤い帽子の馬が躓いて、前にガックリと崩れるような仕草。騎乗していた
騎手が頭から落ちそうになるアクシデント。
ネオブラックダイヤでした。体勢を整えてレースに向かおうとしたときには、周りの馬たちは一足先に失礼。最後方に置かれたのです。以前、控えた形でも、東京2400mで
ホッコーブレーヴに勝ったことがあるといっても、現在は逃げるという形がベスト。
「もう腹をくくりましたよ。こうなっては折り合いに気をつけて直線勝負に徹するしかありませんからね」と、
戸崎騎手。
私はスタートのアクシデントでしばし呆然。砂糖菓子が崩れて落ちて行く感覚にとらわれたのです。
ネオブラックダイヤのアクシデントを隣の枠で見た
横山典・
デスペラードは、それじゃかわりにということからか、主導権を取って我が道を行く、スイスイと逃げ脚を伸ばして行きます。2番手に
クリールカイザー、外から
ラブリーデイ。
サイレントメロディの外に併せた追い込みの
スマートギア。直後に
スーパームーンが陣取り、中団より後ろには内に
フェイムゲーム。外側を
ホッコーブレーヴ。
アドマイヤケルソが後方4番手。そして最後方を出遅れた
ネオブラックダイヤ。
先頭の
デスペラードは2番手の
クリールカイザーとの差をグングンと広げて行きます。
ラブリーデイが3番手。そこからまた離れて
スマートギアと
サイレントメロディ。そしてまた離れて
スーパームーン。中団のインに
フェイムゲーム。外に
ホッコーブレーヴ。そこらまた離れて
アドマイヤケルソ、最後方は
ネオブラックダイヤが追走。
3コーナーで大きく後続を離しながら逃げる
デスペラード。2番手を
クリールカイザー、
ラブリーデイのポジションは変わらず。縦に長い展開で、中団のインに
スーパームーン。少し離れて内から
フェイムゲーム。その外に
マイネルメダリストがいて、またその外を
ホッコーブレーヴ。後方は変わらず
アドマイヤケルソ。最後方に
ネオブラックダイヤ。

そして、4コーナーをまわり快調に大きくリードを取って逃げていた
デスペラードも、さすがに脚色が乱れてきました。そこを直後でじっとしていた
クリールカイザーが一気に仕掛けて前に出ます。これを見た
ラブリーデイが追い出しました。そして
スーパームーンが外へ出ます。



4角を内でまわった
フェイムゲームが馬込みの中で進路を探しています。直線大外に
ホッコーブレーヴ。後方に
アドマイヤケルソ。最後方にいた
ネオブラックダイヤが馬群に取りつき内を狙います。
直線先頭に立った
クリールカイザーがゴールを目指して真一文字。そこへ内から外へ一気に進路を変えた
フェイムゲームが、鋭い脚で迫って来ました。もうゴール前50mであっという間に抜き去ると脚力の違いは歴然。差を広げにかかります。
2番手争いに絞られて、
クリールカイザーが粘るところに
スーパームーンが接近。その外から
アドマイヤケルソが強襲。結果は
クリールカイザーが2着を死守。3着に
スーパームーン。



一方、
ネオブラックダイヤも馬込みを縫うように追い上げたのですが7着。スタートのアクシデントが惜しまれます。
また、1番人気の
ホッコーブレーヴは14着とぼろ負け。あまりにも負け過ぎ。ファンをガッカリさせました。
