ブエナビスタの牝馬3冠なるか! 単勝1・8倍。第14回「秋華賞」はファンの圧倒的支持を受けたブエナビスタが主役でした。
とはいえ、この人気は冷静に考えた場合に異常。桜花賞が半馬身差で、オークスが鼻差。いずれも相手がレッドディザイア。とくにオークスでは早めに抜け出したレッドディザイアの優勝は間違いない、と思われた瞬間に大外から次元の異なる末脚で、猛然と襲いかかり、馬体を併せてゴールイン。まさにドラマチックな鼻差でした。
もっとも、これは東京コースだったからこそ出来た離れ業。開幕2週目で高速馬場の京都競馬場。しかも、内回りコース。そして、大きなウイークポイントになるかも知れない3番枠。ブエナビスタがこれらのハードルを無事クリアーして怒涛の追い込みを見せられるのか、私の予想は▲印でした。
むしろ、ブエナよりも前で対応できるレッドディザイアのほうが、はるかにブエナよりも有利だろうと言う見方をしていて、レッド3・2対ブエナ1・8のオッズは、明らかにご贔屓人気だと判断。つまり、ブエナビスタに絶対勝たせたいと願うファン。桜花賞、オークスでブエナの単勝馬券を保持しているので、秋華賞で夢の3冠単勝トリプル馬券が手に入れようとする収集家。まあ、そんな方の熱い思いがブエナビスタの単勝馬券購入に走らせたのでしょうか。
結果はレッドディザイアの優勝。直線中程で先頭に立ったレッドディザイアを目掛けて、馬体を外に立て直したブエナビスタが、鬼の形相? もの凄い脚で猛追。馬体を併せて抜こうとするところを、内のレッドがそうはさせまいと、ぐっとハミを噛んで懸命の抵抗。2頭はピタリと合わせたままゴールイン。凄いデッドヒート。ブエナの安藤勝騎手はスプリンターズSで、涙の1センチ差2着。その悔しさがまだ氷解していないときでもあり、今回はたとえ5ミリ差でも勝ちたかったはずです。
一方の四位騎手は、春の桜花賞、オークスが同じ馬に惜敗。最後の3冠は奪取しないとレッドに申し訳ないという気持ちがあったのかも知れません。
「最後の3冠だったから負けたら仕方ない、という気持ちで強気に乗りました」と四位騎手。
“鼻差”だけレッドディザイアが先着し待望のGI制覇。ところが、鼻差で続いたはずのブエナビスタが、4角でバテて下がってきた馬を避けて、内から外に進路を取ったときに、ブエナをマークするように直後のインを走っていたブロードストリートが、急ブレーキ。この騎乗の仕方が妨害とされて、ブロードストリートの後の3着に降着。
「不利がすべて。スムーズだったら突き抜けていただろうね」と悔しがるブロードストリートの藤田騎手。そういう意味では2着に繰り上がったとはいえブロードストリートも不運。
ブエナビスタの最大の敗因は、何といっても3番枠。安藤勝騎手もこの枠順を引いたときに、どんな風に騎乗すべきか、いろいろ策略をめぐらしたはずです。最後方に下げて直線は外に出す、あるいはレース中に外に出すという考え方もあったと思いますが、あえてラチ沿いのインサイド。距離のロスなくして高速馬場を乗り切りたい、でないとレッドディザイアに負けるかも知れない。それにはレッドを徹底的マークの真後ろがベスト。この作戦はある意味では正解なのです。ただ、他の馬も経済コースのインサイドは混雑するので、何らかのリスクは考えられたはずでした。
もし、仮にブエナビスタがもう少し外枠であったら今回のような不測の事態は起きなかったはずで、あくまでも枠順による明と暗の差は、大きかったように思います。ブエナビスタには不運としか言葉が見つかりません。
私が応援したジェルミナルはブエナビスタより後方に下げたものの、3角から外を回って一気にスパート。ここで一気に脚を使い過ぎました。4角では4番手の外に進出態勢となったもののひと踏ん張りの力が残っていませんでした。桜花賞、オークス3着の実績。
「内に入れず厳しい競馬になってしまった。外枠が応えましたよ。内ならもっと際どかったはずです」と、申し訳なさそうな福永騎手でした。
ブエナビスタ3冠ならず! 枠順がもたらした運命とは・・($・・)/
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