
春のGIシリーズの総決算、マイルのチャンピオン決定戦「
安田記念」。昨年の不良馬場と違い今年は初夏の太陽がサンサン。
1番人気に推されたのが長期休養明けを3連勝のモーリス。前走の
ダービー卿CTではゴール前次元の違う末脚で、あっという間に突き抜けた内容がケタ違い。この神業的な
パフォーマンスにファンの支持が集まりました。
3歳時490K台だった馬体は510K台までに成長。ひと皮もふた皮もむけたモーリスがそこにいました。ついにGI戦線に乗り出して、そして1番人気に推されるほどのスーパー出世。
今回は
スピカS、
ダービー卿CTで騎乗した
戸崎騎手が、
フィエロに騎乗のために3歳時にコンビを組んだ
川田騎手にバトン。その強さを実際に体感し、絶賛していた
戸崎騎手にとっては、おそらくモーリスに勝たれるかも知れないとの思いがあったはずです。それでも先約の
フィエロを気遣い、ファイティングポーズを崩しませんでした。

初GI挑戦となったモーリス。過去、
京王杯2歳Sで1番人気に推され6着と、苦い経験がある東京が舞台。1年半ぶりの左回り東京をどう克服するのか、もし引っかかったりすると撃沈の可能性も・・と考えていたのですが、それが一転したレースを見せたのです。
スタートでまたもや出遅れた
サトノギャラント、
ダイワマッジョーレ。
ダノンシャークも躓く感じで後手にまわりました。
主導権を取ったのが、出ムチを入れて
内田博騎手の
リアルインパクト。外からじんわりと
ケイアイエレガント。これを見て
浜中騎手のミッキーアイルが手綱を絞ります。
レッドアリオンがそのあとで、なんとモーリスが意外にも正攻法で4番手グループ。ここ3戦とは一転したレース。これに
フィエロと外に
クラレントがピタリとマーク。中団の内々に
ダノンシャークが上昇。その直後に
ヴァンセンヌが末脚を温存。先行
カレンブラックヒルが後手にまわってこの位置。
ダイワマッジョーレは後方で、ポツンと取り残された形の
サトノギャラント。

前半3ハロンが34秒3で、半マイルが45秒9。一昨年の
ロードカナロアが優勝したときが前半33秒9。それを考慮すると平均ペース的な流れ。ところが、前半の4ハロンが過ぎてからも11秒6-11秒4-11秒2-11秒3と、緩みない流れで進みます。
直線で逃げる
リアルインパクトに
ケイアイエレガントが並びかけと、抜群の手応えでモーリスが、今にも先頭に立ちそうな勢い。すぐ後ろには
クラレントがいて、
レッドアリオン、
フィエロも接近。ミッキーアイルは手応えが薄い印象でついて行けません。後方から外を
ヴァンセンヌがグングンと迫って来ました。

ラスト200mを残して一気に先頭に立ったモーリス。さすがにラストは12秒3とダウン。それ幸いと外から際立った脚で福永
ヴァンセンヌが鋭く伸びて来ました。
逃げるモーリス。外から追う
ヴァンセンヌ。少し遅れた
クラレント。
フィエロは伸び脚を欠いています。直線一番外に出した
ヴァンセンヌが1頭際立った脚色でグングン接近。モーリスに並びかけて来ました。

それでも、モーリスは並ばれてからが真骨頂。頭を低くしてグイと伸びてクビ差
ヴァンセンヌを退けて遂に待望のGI優勝。場内はやんやの大歓声。
1分32秒0、ラスト34秒5、タイムは一昨年よりも劣るものの見事に高速決着に断を下しました。モーリス本格化の証しがここに実現したのです。
軽く会釈はしつつも、派手なガッツポーズ、
パフォーマンスを控えたクールガイ
川田騎手。よほど自信があったのだと思われます。
この時期のマイル戦に強い
クラレントが前走とは一変。堂々3着を確保。
フィエロに先着しました。


2番手をキープして粘りに粘った
ケイアイエレガントが5着。
ダノンシャークが10着と失速。ミッキーアイルは15着。本来、先行力が最大の武器でもあり、ミッキーアイルの
浜中騎手も「スタートが早いから結果的に行かせた方が良かったような気もします」と、残念な結果にガッカリ。

私はラスト32秒台の破壊力を重視して
サトノギャラントを支持しましたが、スタートでポツンと出遅れ。それも前を行く馬からも遅れて最後方。
柴山騎手は前日のレース中にゲートの中で負傷。途中で騎乗変更。幸い軽症で翌日騎乗して元気なところを
アピールしていましたが、パドックで騎乗できないように、万全ではなかったのです。プロなのですから万一でも騎乗に影響するようなことがあれば、関係者、そして支持しているファンに失礼。せっかくのGIという気持ちはわかるのですが、万全の体調でなければ騎乗辞退すべきだったのではないでしょうか。それもGIなのです。
