どんなレースでも流れ、展開というものは、結果において大きなウエイトを占めています。今回の桜花賞がそうでした。強力な逃げ馬が不在。それでも桜花賞だからスローにはならないだろう、という見方をする騎手、関係者もいたくらいです。
私の戦前の予想では、本当ならジュエルオブナイルが行くだろうけど、外枠なのでレディアルバローザが押し出されるように主導権をとるはずと予測。内からアプリコットフィズとオウケンサクラが好位置をキープか。いや、横山典騎手だから3番枠を利してアプリコットフィズが、思い切って飛び出すかも知れない。アパパネは恐らく引っ掛かることを警戒して、中団で折り合いをつける作戦なのかな?と考えていました。
ところが、主導権を取ったのは安藤勝・オウケンサクラだったのです。直前のフラワーCでは3番手で折り合いを付けさせて、直線でスパッと抜けて圧勝。桜花賞本番でも同じようなレースをすると思ったのですが、楽に主導権取ると他に何も競りかけて行かないので、まさに楽な一人旅。レディアルバローザの和田騎手も2番手に付けると、これで安心したのか動こうとしません。アプリコットフィズは3番手の内を追走。福永騎手のエーシンリターンズがいつもより早めの3番手。それら先行した馬の動きを見ながら1番人気のアパパネ。
「ひとつ前のレースを見て、時計が速かったので、ある程度の位置に付けていかないと、これはダメだろうな、と思っていました」と蛯名騎手。アパパネの優勝の大きな因は、この展開、流れの読み方が大きかったと思います。私は滅多に蛯名騎手を誉めたりしませんが、今回の桜花賞のアパパネの騎乗は最高。百点満点です。
そうして、もう一人安藤勝騎手。主導権を取り半馬身差2着と惜敗だったオウケンサクラ。フラワーカップで3番手からラスト11秒7-11秒3で再加速した自信が、桜花賞の積極策にあったと思います。「行く馬がいれば譲って抑えるつもりだったけど、他に何にも行かなかったからね・・」と安藤勝騎手。
前半3ハロンが35秒6。典型的なスロー。半マイルの4ハロンが47秒5。これではもう勝負があったようなものです。後方待機の馬には出番はなし。そしてラスト4ハロンが11秒4-11秒1-11秒1。残り1ハロンを残して、もの凄いハイレベルのラップ。これでは中団、後方待機組は追いつくひまがありません。
流れを読みきったアパパネが優勝し、二の足を繰り出して粘ったオウケンサクラが2着。同じ位置から流れ込んだエーシンリターンズが3着。
待機組では中団のインコースを走って、直線外に出し、差してきたショウリュウムーンの4着が際立っていました。オークスでは有力候補です。
アプリコットフィズは後一押し利かず5着でしたが、自己ベストの1分33秒6で、ラストは34秒4。アプリコット自身としては良く走っています。2戦2勝の東京コースのほうが向いているタイプとも思え、次走のオークスが楽しみです。
私の本命に推したアニメイトバイオは8着。アパパネと0秒4差。1分33秒7で、ラスト34秒1。この時計は悪くありませんが、何と馬体重がマイナス20キロ。木曜日発表の馬体重が472キロ。明らかに輸送での体重の激減が、ハイレベルの決着で応えた印象です。残念です。
ラスト33秒8のメンバー最速の時計を計時したシンメイフジは6着。4角を14番手からの追い込みに賭けたのですが、このスローでは如何ともしがたいところでした。
スローで少差の決着。来るオークスではまた熱い戦い、驚きのドラマが待っているかも知れません。
桜花賞は1着から10着まで0秒5差の大激戦!それでも勝った1番人気アパパネの強運!!
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