さすがM・デムーロJ マジックの決断に驚嘆!!
優勝したパラダイスSで11番人気のスマートオリオンに◎を打ち、私は一人悦に入ったものでしたが、まさか続く中京記念で57Kを背負い、快勝するなんて頭にも浮かびませんでした。 それも1200mを専門に走っていた馬が、いきなり初めての1600mという中京の舞台で、重賞でネジ伏せる快挙に近いレース。 そこにはM・デムーロという世界の騎手が騎乗していたことが、大きな後押しになったことは、まず疑いようがありません。 顔触れからネオウィズダムが主導権を取り、カレンブラックヒル、カオスモスが2番手あたりで、流れはスローか平均ペースと読んだのです。 しかし、中京記念の展開は、出入りの激しい形となってしまいました。まず、内からカレンブラックヒルが押して先頭に立ちます。58Kというハンデ頭を背負った同馬には、なるべく前で流れに乗りたい、そういう思いが秋山騎手にはあったはずです。 ところが、向こう正面で外からメイケイペガスターが動きます。3角手前でカレンブラックヒルを内に見て先頭に立ったメイケイペガスター。カレンブラックヒルは当然ながら控えます。そこにまた外から一気に仕掛けて出たエールブリーズが馬体を併せてきました。 これらの馬の動きを、ジックリと直後で見ながら駒を進めるスマートオリオン。1200m、そして1400mのスピード競馬で鍛えてきたことで、よほど追走が楽なのか、終始3番手の好ポジションを追走。デムーロ騎手は無理に手綱を引っ張ったりせず、馬に気持ちよく走ってもらうコツを体得しているような騎乗。抜群の手応えで折り合いを付けます。 前半34秒7―46秒4。マイルの重賞では遅いくらいの流れ。前日の2歳未勝利が稍重馬場で35秒0-46秒8。 この流れでピタリと好位で折り合ったスマートオリオン。前に行く2頭の直後で末脚を温存して、内の1番人気カレンブラックヒルの動きを見ながら仕掛けのタイミングを計ります。 4コーナーで内目の3分どころあたりを開けて外に出したエールブリーズが、メイケイペガスターを置き去りにするように先頭に立つと、これを待っていたかのようにスマートオリオンが動きました。内にはカレンブラックヒル。 エールブリーズを捉えて先頭に立ったスマートオリオン。坂を上がってからも伸び脚は快調。内からカオスボスが浮上。 そのときでした。中団内の経済コースをピッタリ追走し、直線は馬込みの間を縫うようにしてやって来たアルマディヴァンが、スマートオリオンの外側から猛然と肉薄。そして粘っていたエールブリーズの外から中団待機で末脚を温存していたダローネガが強襲。大外から離れた後方から直線勝負に賭けたアルバタックス。その内には2番人気のレッドアリオン。スマートオリオンを先頭に内外の各馬がどっとゴールイン。 スマートオリオンがトップで入ったことは自分の目で確認できましたが、あとは内外横一線の写真判定。 結果はスマートオリオンが優勝。2着にゴール寸前でその外から襲い掛かったアルマディヴァン。外のダローネガが3着で、粘ったエールブリーズが4着。カオスモスが最内で頑張り5着。大外のアルバタックスが届かず6着。◎で応援していただけに残念。1番人気カレンブラックヒルが7着で、2番人気のレッドアリオンが8着。 優勝したスマートオリオンから6着アルバタックスまでクビ・クビ・クビ・クビ・クビ差。ハナ差でカレンブラックヒル。まさにハンデ戦ならではの攻防が見られました。 何事もなかったかのように、スマートオリオンのデムーロ騎手が、タテガミのところをヨシヨシと言わんばかりに撫でて労をねぎらっていました。最高のポジションでベストの仕掛け。デムーロ騎手のソツのない騎乗。まさに世界のM・デムーロがここにいました。
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