
夏の新潟競馬の大一番、「
新潟記念」にはある定説があったのです。真夏はローテーションが、なにより重要と考える私は、ここ数年の確かなデータを感じとっていたのです。
それは
小倉記念から
新潟記念に向かってくる馬の馬券の連対率が、ばかにいいことに着眼。ちなみに、過去6年に限れば馬券の対象はパーフェクト。連対が5回。4年前は
ナリタクリスタル、
サンライズベガで1、2着。6年間で4勝もしているプロセス。まずハンデ戦ではお目にかかれない高確率なのです。私はこのデータに大いに着目しました。
今年この
小倉記念→
新潟記念というローテーションを組んで来たのは、
クランモンタナと
パッションダンスの2頭。
パッションダンスは
小倉記念で◎に指名。6着と一息伸びを欠きましたが内容的には悪くありませんでした。

しかし、それ以上に
クランモンタナの
小倉記念で見せた末脚が光りました。僅差の4着でしたが、それは完全復調を窺わせる迫力を感じたのです。夏に強く、昨年の
新潟記念2着の実績からも、職人、
内田博騎手で“勝負になる”と推察しました。
結果的に
パッションダンスが優勝。M・
デムーロ騎手を配して、ゴール前でしぶとく伸び、粘る
マイネルミラノをアタマ差捉えたのです。それは
鞍上の
デムーロ騎手による優れた騎乗技術的な勝利でもあったのです。

枠順に恵まれた
マイネルミラノがスンナリと主導権を取って、スローに落とすだろうと考えていたのですが、1番人気の3歳馬ミュゼスルタンが積極的に前に出て来ました。2番人気の
マジェスティハーツが3番手争い。ともに追い込みタイプなのですが、スローを意識してか、これまでとは一転した作戦を組んで来ました。外から
アーデントが進出。内には
ユキノサムライ、その後ろに
パッションダンス。並ぶように
クランモンタナでしたが、外から3番人気のメドウラークが被せるように出てくると、
クランモンタナが挟まれる感じで下がります。

これらを見て
ファントムライトがインをピッタリ。一番外をアヴニールマルシェが上昇。
スイートサルサがいつもより早めに前に出て来ました。
ダコールが続き、離れ気味に
アルフレードと外に
ロンギングダンサー。最後方は出遅れた
ユールシンギング。
3コーナー手前で外から内に切れ込むように
アーデントが先頭に立ち、後続との差を一気に広げて行きます。2番手は
マイネルミラノ、外に
マジェスティハーツが進出。その後ろが
ファントムライトで、外にメドウラーク、ミュゼスルタンもピッタリ。このとき
ユキノサムライがバランスを崩し、直後にいた
パッションダンスがそれを避けるように外に出して難を逃れました。
クランモンタナが盛り返し気味に中団。内には
ラブイズブーシェ。後方には
ロンギングダンサー。5ハロン通過が58秒8。稍重の馬場で緩みないペースです。
一気に仕掛けた
アーデントが3馬身くらいリードを取って先頭。2番手の
柴田大・
マイネルミラノが、後続との差を考慮して絶妙のタイミングで前を捉えに出ます。後続は少し離され気味。続く
マジェスティハーツがついて行けなくなります。内ピッタリと
パッションダンス。メドウラークもいます。
ファントムライトと、その外にミュゼスルタン。
稍重馬場ということもあって各馬パッと外に広がり、馬場の真っただ中を
マイネルミラノが
アーデントを捉えると、真一文字にゴールへ向かいます。勢いから勝負は決したかのように見えたのですが、内に進路を取った
ファントムライトと外のパッションダンス。とくに
パッションダンスの
デムーロ騎手は、
マイネルミラノを標的に外に持ち出して懸命の追撃。

必至に粘りこみを計る
マイネルミラノに外から馬体を並べたところがゴールでした。悔しがる
柴田大騎手。うまくいった!と言わんばかりの
デムーロ騎手。3着には13番人気
ファントムライトが食い込んで大波乱。
1番人気ミュゼスルタンは16着、2番人気
マジェスティハーツが10着。3番人気メドウラークが9着。4番人気のアヴニールマルシェが15着。5番人気の
アルフレードが7着。上位人気馬が総崩れ。

注目していた
クランモンタナは伸びを欠いて12着。馬場にのめっているようにも見えました。

それにしても、
小倉記念からの好ローテーションを生かし切った
パッションダンス。M・
デムーロ騎手の上手さには脱帽ものです。1分58秒2の時計も小雨が降る馬場状況を考えると優秀なタイムでした。
