誰が言ったのだろうか、GI、クラシックには同着はない、というジンクスめいた掟。ところが、このジンクスを打ち破る結果がもたらされたのです。
それは2頭の激しい攻防。内からサンテミリオン、その外に併せたこの日の1番人気アパパネ。ゴール前で外のアパパネが一瞬先頭に立ちかけたのですが、横山典騎手のサンテミリオンも何するものぞ、とばかりに歯を食いしばって必死の盛り返し。お互いに飛び交う渾身のステッキ。私の双眼鏡も2頭にピッタリと焦点。ゴールに入った瞬間は、かなり微妙ながら内のサンテミリオンが、僅かに優勢かな?との長年、培ってきた私の目測の判断。
その2頭はゴール板を過ぎてから横山典、蛯名騎手ともガッツポーズはなし。ともに微妙な表情。このとき白旗を出していたのが、アパパネの蛯名騎手。
「いやあ、おめでとうって、蛯名騎手が言ってきたものだから、あれ勝ったんだあ、と思っちゃいましたよ」と、横山典騎手。
「負けた、ああ負けたと思っていたので、写真の結果、負けていなくて、本当に良かったですよ」と蛯名騎手。
5月23日(日)、東京競馬場。71回目を迎えた優駿牝馬「オークス」。早朝から降り続いた雨が、芝の馬場にたっぷりと染み込み、発表はやや重馬場ながら明らかに重馬場かそれ以上に悪化した馬場。しかも、逃げたニーマルオトメが暴走気味の大逃げ。これを追いかけるアグネスワルツ。絶好の2番枠を引き、楽に主導権を取れると思ったアグネスワルツにとっては、ニーマルオトヒメが予想外に速いペースで引っ張ったことが、大きな足かせになってしまったのです。
前半の1,000m通過が60秒6。良馬場で行われた昨年のオークスが61秒0。何んと昨年よりも速い流れなのです。
「最初は逃げた馬を追いかけてしまって、バランスを崩したのが痛かったね。気持ちが真っ直ぐな馬だから。この前のようにスンナリとハナにでも行けたら、結果はまた違っていたと思うけど・・」と、3着のアグネスワルツの柴田善騎手。この辺がクラシックの厳しさなのかも知れません。
この日、2番人気に推されたショウリュウムーン。重馬場のチューリップ賞でアパパネを破り、桜花賞では直線で不利がありながら急追し差のない4着。再び道悪馬場で、内田博騎手にバトン。ところが、この日は抜群のスタートを決めると3番手を追走。この展開は思い浮かびませんでした。内田博騎手は「無理したところがなくて馬なりで行けたのですが、緩い馬場に脚を取られて、ノメリながら走っていました。残念です」と、唇を噛みしめていました。
私はこの日のオークスは、4番人気のアプリコットフィズを本命に推しました。東京での2 戦がいずれも横綱相撲で、東京でこそ持ち味が100%生きると確信。枠順が3番枠。有力馬が外枠でこれはラッキーと思えたのですが、予想以上の大雨は想定外。馬格に恵まれていないアプリコットには、雨と道悪馬場のインコースが、かなりの痛手になったはずです。
四位騎手も「枠順を見たときに、おっと思ったけど、結果的にこの枠がアダになってしまいました。何度かこのインコースでバランスを崩しながら走っていたからね。一瞬直線で伸びかけたけど、最後はきつくなっちゃって・・」と残念そう。6着でした。
昨年の優勝タイムが2分26秒1で、今年は2分29秒9。3秒8も遅いタイム。昨年より前半速いペースで行ったのにあまりにも平凡な時計。
それでも時計以上にファンを熱くさせたアパパネとサンテミリオンの壮絶な叩き合い。たった一つの優駿牝馬・オークスという栄冠を賭けた戦い。それは取りも直さず今年、大攻勢の2頭の人気種牡馬、キングカメハメハと、ゼンノロブロイの戦いでもありました。
クラシック史上初の1着同着!!ゴールで見た瞬間は内のサンテミリオンだったけど・・($・・)/~~~
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