
今年の2歳チャンプの決定戦「
朝日杯FS」は、なんともドラマチックな結末となりました。
優勝は2番人気のリオンディーズ。2着が1.5倍、圧倒的1番人気のエアスピネル。ゴール前は2頭の争い。リオンディーズがM・
デムーロ騎手を背に力強く抜け出しました。
リオンディーズは父が
キングカメハメハ。母が女傑
シーザリオで、10年前の
オークス優勝馬でもあります。
一方で、2着のエアスピネルは父がリオンディーズと同じ
キングカメハメハ。母が
秋華賞を制した
エアメサイア。この
エアメサイアは
オークスで
シーザリオの前にクビ差2着。それゆえ2頭にとっては因縁の対決だったのです。
まず、主導権を取ったのは好ダッシュを利かせてウインオスカー。包まれるのを嫌い内からショウナンライズ。外にはアドマイヤモラールが馬体を併せに来ました。
岩田騎手が背中を丸くして、手綱を懸命に引くシュウジ。ハミを噛んで引っ掛かっています。その直後にユウ
チェンジ。中団のインに京王杯優勝馬ボールライトニング。その直後をマークするようにエアスピネル。その後のハレルヤボーイを挟んで、内にイモータル、外に
シャドウアプローチ。ダッシュが利かず最後尾に付けたリオンディーズ。
前半の3ハロンが34秒7。時計を要する阪神でこのペースは速い。ちなみに前日のオープン、
リゲルSが36秒3だったことからも、先行勢にとっては厳しい流れです。ところが、4、5ハロン目が12秒6―12秒7に大きくダウン。

4コーナーの5ハロン通過が60秒0。ここから11秒9-10秒8-11秒7と一転して流れが急変。先行したウインオスカー、その外のショウナンライズが伸びかけたところを後続が殺到。シュウジがしぶとく伸び、ユウ
チェンジも接近。そんな中で、馬群の中からエアスピネルが、馬場中央を通って一枚上の脚でグイと抜け出してきました。脚色から完勝か!と思われましたが、4角最後方から直線大外に出したリオンディーズが、次元の違う末脚で強襲。豪快なストライド。エアスピネルに外から馬体を併せる間もなく、一気に突き抜けて栄光のゴールイン。

スタンド前ではM・
デムーロ騎手が思わずバンザーイ!2着がエアスピネル。
武豊騎手が唯一、勝っていないGI
朝日杯FS。非常にも今年も夢が叶いませんでした。
3着が
京王杯2歳S1番人気の
シャドウアプローチ。エアスピネルから4馬身も離されてしまいました。4着ユウ
チェンジにハナ差で続いた5着が3番人気シュウジ。先行した組では引っ掛かりながら良く頑張りぬきました。

4番人気ボールライトニングが11着。楽しみにしていたショウナンライズが直線に入ったときも手応えは良かったのですが、どうしたことか伸びを欠いてしまいました。馬体重が12K増の464K。追い切り後に計測した馬体重が455K。美浦からの輸送で増えたのでしょうか。納得いかない敗退です。

とはいえ、10年前の
オークスで1、2着した
シーザリオ、
エアメサイアの子供たちが、GI
朝日杯FSで1、2着。母の血は濃し、まさにそんな印象をうかがわせたドラマチックな結末でした。是非、2頭で来年の凱旋門賞に挑戦して、日本初の凱旋門賞馬として帰国して欲しい気がします。
