夏の小倉競馬の祭典「小倉記念」は、さすがにハンデ戦とあって上位の人気が拮抗。それでもさすがに宝塚記念に出走し、7着と善戦したスマートギアが1番人気に支持。騎乗者は3月27日以来、実に127日ぶりにレースに復帰した武豊騎手。
「武豊の快気祝いだよ」と言う人もいたのですが、小倉コースで1番枠。追い込み一手のスマートギアには、ハードルをひとつ上げたような一戦でした。
レースの直前、ゲートの後ろで輪乗りをしているときに、突然、場内アナウンス。人気の一角、アドマイヤオーラが除外という知らせ。右肩のハ行でした。皐月賞4着、ダービーがあのウオッカの3着。血統的な背景からも将来性を大いに嘱望されて、復帰を待ちわびていた多くのファン。5月の金鯱賞でカムバックし、さあ、これからと言う矢先の取り消し。何とか無事にターフに戻って来て、重賞戦線を羽ばたいて欲しいものです。
レースは予想通り“逃げこそ我が命”とばかりオオスミスパーク。今年の小倉大賞典で圧勝した馬です。この馬を追いかける形でメイショウレガーロとトーホウレーサーが2、3番手。そこへたまらんと言う手応えで、3番人気のサンライズベガが2番手に進出。1,000m通過が58秒6。1,400m通過が1分22秒7、1,600m通過が1分34秒2と、緩みないペースを刻んでいきます。そして、1,800m通過が1分45秒8。サンライズベガが先頭に立ち、後続を押し切ろうと懸命のラストスパートをかけていたときです。直線入り口で3番手に進出したニホンピロレガーロと、バトルバニヤンが2頭でサンライズベガを呑み込むと、両馬のデッドヒート状態。ナリタクリスタルがその外から追い上げてきましたが、前を捉える鋭さは見られません。大外からゴール直前でスマートギアが飛び込んで来たものの3着がやっと。
勝ちタイムが1分57秒9、一昨年のドリームジャーニーと同タイム。レコードに0秒1差でしたが、ドリームジャーニーのときのラスト3ハロンが35秒0。今年は35秒2と、0秒2遅い時計でした。このあたりはメンバーの能力度の違いかも知れません。
いずれにしても、猛暑の中で、2,000mを死力を尽くして戦ったことは、期待と不安が錯綜します。ほとんどの馬が持ちタイムを更新し自己ベストを記録。今後に明るい展望が開けた馬がいたかも知れません。が、反面、猛暑の中での全力走は、想像以上に蓄積疲労として残りやすいもの。折りしもJRAはサマー2000シリーズを展開中で、小倉記念の上位馬が有力候補。恐らく新潟記念に向う馬がいるはずですが、猛暑続きで、体調が不安視されるところです。