日本のR&Bシンガーの第一人者である上田正樹さん。1982年にリリースした『悲しい色やね』が大ヒット。今でもカラオケのスタンダード・ナンバーとして愛唱されている私も大好きな名曲です。
その上田正樹さんがTBSラジオ「アベコーのモリもりトーク」に姿をみせてくれました。
「どうもどうも師匠!ご無沙汰していました。お久しぶりです!」と、しわがれ声のハスキーボイスで上田さん。
「こちらこそご無沙汰をしておりました。お目にかかるのは、いつ以来ですかね?」と私。
「確か競馬場以来だったような気もしますね。ほら中山の帰りに、行徳のステーキ石井さんで食事して以来だと記憶しています。でも、競馬の予想などで、師匠に電話していたからそんなに昔という気はしません」と、上田さん。
「上田さんはアベコーさんのことを師匠!って呼びますが、どうしてですか?」と、TBSアナウンサーの江藤愛さん。
「それは、僕にとって、一番尊敬しているお方なんです。いろいろと競馬の見方、予想の立て方を、教えて頂いた先生、師匠なんですよ」と上田さん。
「そうだったんですか!それではここで上田正樹さんについて、リスナーの皆さんにちょっとご紹介しておきます。上田正樹さんといえば、京都出身のアーティスト。70年代に結成された伝説のスーパーバンド『上田正樹とサウストゥサウス』は、当時のバンドブームの頂点に立つほどの人気となりました。そしてソロ転向後に『悲しい色やね』が大ヒット。映画『悲しい色やねん』の主題歌にもなりました。その後は、日本のみならずタイ、インドネシア、マレーシアなどアジアを中心に幅広く活躍。先日はタイで音楽イベントを行うなど現在も絶好調です。っということですが・・」江藤アナ。
「いやあ、それにしても、やっとお会いできた!と言う感じですね。なんでもこちらからオファーを出すたびに海外なんですから」と私。
「ああ、本当にごめんなさい。タイミングが合わなかったですね」と上田さん。
「1度は去年の暮れに出演できそうだ、ということだったのでお待ちしていたのですが、なんでもタイからの到着便が16時を回るということで、生放送には間に合いそうにもない、で、急遽ゲストを変更。今度は年明け1月でしたか、その日のタイ行きの便にどうしても乗らなければならず、出演ができないとか。いやあ、3度目の正直でしたね」と私。
「本当にご迷惑をお掛けいたしました」と上田さん。
「ところで、上田さんと言ったらこの名曲『悲しい色やね』ですよね。今、この曲に対してどんな思いがありますか?」と私。
「う~ん、最初の頃はね、あまり好きではなかったんですよ。気も乗らなかったしね。でも、こうして段々と年を重ねて行くに連れて、ようやくこの曲の本当の良さがわかってきましたね。だから、今、この曲を歌うと、はるかにあの当時よりも上手に歌えると思います」と上田さん。
「悲しい色やねには、男と女、人生の哀愁のようなものを感じるから、今、上田さんの言葉よく理解できますね」と私。
「師匠、ありがとうございます。嬉しいです」と上田さん。
「悲しい色やね、を実際に聴きながら、こうして生番組にご出演されて頂いて、本当に良かったです」と江藤アナ。続けて「さて、上田さんといえば『アジアはオレの庭!!』だそうですね」。
「わあ~アジアはオレの庭ですか。さすがスケールがデッカイですね。タイ、マレーシア、インドネシアで活躍が目立つ上田さんですが、先日のタイでのイベントは如何でしたか?」と私。
「いやあ、凄い盛り上がりでしたね。海外の有名ないろんなアーティストも出てくれて良かったですよー。レゲのボブマリーの息子さんも来ていたし、良かったなあ・・」と上田さん。続けて「とにかく今、アジアの下の方、東南アジアなんですが、音楽を中心に熱いですよ」。
「上田さんが最初に行かれたのがインドネシアでしたよね」と私。
「そうです、バリ島に住居を構えましてね。とっても眺めのいいところだったんですよ。そうしたら前の大統領のメガワティさんが、ここを是非とも譲って欲しいといわれたので移ることになったんです。いい所でしたけどね。でも、インドネシアでは賞も獲れたし、いい思い出ができました」と上田さん。
「賞ですか、凄いですね~」江藤アナ。
「そうですね、日本で言えばレコード大賞に匹敵する賞なんですよ」と上田さん。
「素晴らしいですね。ところで、今、よく行かれているタイという国は、仏教国でしょう。上田さんの音楽を素直に受け入れてくれましたか?」と私。
「そうなんです、タイは小乗仏教国で最初はどうかと思ったけど、まったく問題なかったですね。今のタイの人たちは僕たちの音楽を待っていたかのような、熱い視線を感じますね。だから何処にいっても大変な盛り上がり。マレーシアでもシンガポールでも東南アジアは凄く変わってきていますよ。これからの時代は東南アジアだと思います」と、上田さん。
「東南アジアといえば、現在でも戦争しているところがありますが、音楽に国境はない、という風に、皆さんを平和に導かれるといいですね」と私。
「そうです、少しでも戦争や貧富の差がなくなることの手助けにでもなれば最高です」と上田さん。
「さて、次に上田さんを知るキーワードは『俺たちの歌~!』だそうです」と江藤アナ。
「いや、実は2月2日にアルバムを出しましてね、僕らオヤジたちの生き様というか、オヤジたちのノリというのか、そんな感じでアルバム制作に集合をかけたら、同世代のオヤジたち、といっても名だたるアーティストが集まってくれまして、いいものが出来上がりました。とにかく全員が55歳以上の限定でしたからね(笑い)」
「是非、聞かせていただきます。同じ世代としても・・」と私。
「ところで、メールがたくさん来ていますね」と江藤アナ。
「はい、リスナーの方から上田さんはトウカイテイオーが好きだったそうですね、というメールが届いていますが・・」と私。
「そうなんです。忘れもしません。あの有馬記念でしたよね。1年ぶりのレースだったでしょ。直線の叩き合いでビワハヤヒデ(1番人気・3歳)に、彼、トウカイテイオー(4番人気・5歳)はとなりで、まだお前のような若造には負けるわけには行かないんだよ。どけどけ!って、言ったように聞こえた感じがしたんですよ。凄い馬だなあ・・と思って、今でも忘れられない馬ですね」と上田さん。
翌日の中山記念では、1番人気のヴィクトワールピサが、来月にドバイワールドCに行
くので、ここはそこに向けたステップ、負ける可能性もあるという見解を披露。私も同じ見解だというと「師匠と同じ見方で良かった。さすがアベコー一門の弟子でしょう」と、ニコニコの上田さん。
結果は人気通りにヴィクトワールピサの圧勝でしたが、久しぶりに競馬の話題でも盛り上がって楽しいひと時でした。