前半の3ハロンが33秒5。半マイルは44秒6。まさかこんなペースになろうとは誰が予測できたでしょうか。このことが女王ブエナビスタの連覇を阻むことになったのだと思います。
戦前の予測では、おそらくブリンカー着用のオウケンサクラが好枠で逃げるだろう、とくに競りかけて行きそうな同型がいなかったことから、オウケンサクラのマイペースで、ややスローに近い流れを考えたのですが、ブエナビスタの岩田騎手もそういう意識があったと思います。ただ、目標とする2番人気のアパパネが中団で展開していることから、これを直後で見る形。流れを考慮すると、これはこれで当然、とも思える位置取りだったと思います。
ところが、オウケンサクラの単騎大逃げ。このペースに対応できたのがアパパネ。前走のマイラーズCでマイル戦を経験している強味が生きました。直線で先頭に立ったレディアルバローザ。それをゴール前で捉まえたアパパネ。直線外からブエナビスタ。この息詰まる女の凌ぎ合いは、アパパネがブエナビスタの猛追を首差振り切って優勝。
「絶対に外からブエナビスタが来ると思っていたから、先頭に立ったときは、なんとか凌いでくれ!と思って必至に追いましたよ」と蛯名騎手。
一方、ブエナビスタの岩田騎手は「直線でもっと楽に前に取り付くことが出来ると思ったんですが、意外に手間取ってしまって・・」と、肩の力を落としていました。
勝ちタイムが1分31秒9、昨年のブエナビスタが接戦をモノにしたときの時計が1分32秒4。結局、このマイル戦の超高速決着に対応できたかどうかの差が結果に出てしまいました。ブエナビスタにとっては1年ぶりのマイル戦。どんな馬でも、どんな強い馬でも、今日はどれくらいの距離を走るかなんて、わかるわけがないのですから、いつも2000m以上を走ってきたブエナビスタに、いきなりマイル戦、それもレコード決着に近い時計の勝負は、あまりに可愛そうでした。
それでも首差2着と詰めよったところに、女王ブエナビスタの稀代の女王たる所以があるわけです。もう、マイル戦を走るようなことはないと思いますが、優勝したアパパネ以上にブエナビスタの力走が心に強く残るレースでした。
東京のマイル戦ということで、2戦2勝のアプリコットフィズに密かに期待を寄せていたのですが、まるで凧糸が切れてしまったような走りでシンガリ。時計は自らがクイーンC優勝で計時したときと同じ1分34秒4。当時、ラスト3ハロンを、余裕を残して35秒1でしたが、今回は37秒3。2秒以上も遅い時計。あのときのアプリコットフィズの姿はありませんでした。彼女になにがあったのか。
「なにかキッカケが必要なのかも知れない」と武豊騎手。本馬場の調教は文句なしの素晴らしい動き。内と外から馬体を併せられると、闘争本能が消滅してしまうのが現在のアプリコットフィズのような印象があります。
小島太調教師もお手上げといった感じのようですが、諦めず彼女の復活走を待っているファンは少なくないはずです。思い切って逃げるとか、最後方から直線勝負に賭けるとか、メンタル面等の治療も必要のような気がします。そのときこそが、アプリコットフィズの本物の姿のような気がしています。
予想外!猛烈ペース。未体験の流れに戸惑った稀代の女王ブエナビスタが惜敗!!
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